人魚姫2 (ページ41)

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謝んなくてもいいのに。

『そんな、全然、迷惑じゃないです…』

本当は、会いたくて、

ずっと、待ってたんです、私…

『でも、来てくれて嬉しいです』

恥ずかしくて、これ以上の言葉は言えなかった。

これが、私が彼に伝えられる精一杯の言葉。

「…え、あ、っ、」

なんて返事をしたらいいか、きっと迷っているんだと思う。さっきから、ギョンスさんの目が左へ行ったり、右へ行ったり。

言葉を探すみたいにして、泳いでる。

なんか、へんなの。

ギョンスさんも、こんな風に慌てたりするんだ。

とても、かわいい人だと思った。

「俺も、会えてよかったです」

突然、彼の真っ直ぐな目が私を捉えるから。

恥ずかしくって、私は俯いた。

『あの…』

俯いたままの私は、どうしても言いたいことがあって。

でも彼の目が見れなくって。

だから、自分の靴を見つめながら口を開いた。

『約束…桜祭りに行く約束、まだ覚えていてくれてますか？』

これが聞きたかったの。

あの約束は、まだ有効ですか？

あなたが覚えてないならそれでいい。

ただの社交辞令なら、それでいいから。

だから…

「覚えてますよ」

彼の声が聞こえて、下に落とした視線を、私はゆっくり上へと上げてゆく。

知らないうちにきつく結んでいた唇が、ふっと緩んで、笑みに変わる。

私たちは、またいつかの日のように、この場所で笑いあった。