人魚姫2 (ページ30)

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「すこし、そこら辺で飲みませんか？」

なんとなく一緒に買い物を済ませスーパーを出ると、彼が今買ったばかりの袋を少しだけ持ち上げて言った。

『いいですね(笑)』

なんだか可笑しくて、笑ってしまった。

近くの公園に行ってそこのブランコに座ると、彼が袋から出したビールの片方を私に渡した。

『ありがとうございます』

お礼を言ってそれを受け取ると、彼は眉を下げて困ったような顔をしながら、

「なんか、あったんですか？」

なんて、私の全てを見透かすみたいに優しい声で言った。

『…ギョンスさんは、魔法使いか超能力者ですか？』

「え？」

不意を突かれたみたいにまん丸の目がこちらを見て、

「そうだったらよかったなぁ」

冗談なのか本気なのか、彼は小さくそう呟いてから苦笑した。

私はビールの缶に口をつけ、目の前にあるネオンで広がった夜の街を見つめた。

『ここ、こんなに綺麗な夜景が見えるんですね』

この公園は少し小高い丘の上にあるらしく、その下に広がる都心の街並みがとても煌びやかで、それから儚い夢のように見えた。

「好きなんです、ここ」

隣のブランコに座る彼の声が、私の耳元で優しく響いた。

「落ち込んだ時とか、嫌なことがあった時、どうしようもなく悲しくなった時に来るんです」

『…どうして、ですか？』

「なんか、ちっぽけに感じるんです。今起こってる全てのことが、全部些細なことのように思えて。それで、不思議とまたがんばろうって思えるって言うか」

彼は、ずっと先のこのネオンより先の、まるで未来を見つめるみたいに遠くの方を、真っ直ぐな目で眺めていた。

『私も、そんな気がしてきました』

言って、柔らかく微笑んだ彼と目があった。