人魚姫2 (ページ17)

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「なんか、寝れないかも」

いよいよ明日に迫る、俺と彼女の初デートの日。

高鳴る胸を押さえつつ潜り込んだベットの中、いつもみたいに瞼を閉じたのにまったく寝付けない。

彼女のことが頭から離れず、少しでも彼女のことを考えれば胸が締め付けられる。

ある種の病気だ。

俺はデートなんて浮かれてるけど、彼女はどう思っているのだろう。

そんなこと考えた途端、答えの出ない迷路に迷ってしまってかれこれ30分はベッドのなかでゴロゴロ動き回ってる。

「あ、ギョンスじゃん。今帰ったの？」

やっぱりどうやっても寝付けないから仕方なく向かったリビングで、ソファーに座るギョンスを俺は見つけた。

「うん、まぁね…」

俺の目に映ったギョンスの悲しそうな瞳が、彷徨うようにゆらゆら揺れていた。

「どした？撮影うまくいってないの？」

現場で何かあったのか、そう思って口にした言葉に、少し図々しかったかもしれないと慌てて口を紡いだ。

「、へ？あ、ううん。順調だよ、すごく」

「そう、」

ふーん、と鼻を鳴らした俺がギョンスの隣に腰掛ける。

「ねぇ聞いてよ、俺さ明日デートなの」

なんとなく淀んだ隣の空気の重さに耐えられず、俺は話題を変えて嬉しそうに話し始めた。

「え、ほんとに！？よかったじゃん」

思いのほか笑顔で喜んでいるギョンスに、なんだかほんの少しだけ違和感を感じる。

「…すごい好きなんだね、その子のこと」

俺が呼吸をする間も与えぬように熱心に彼女の話をし始めたとき、ふとギョンスの唇からそんな声が零れ落ちた。

「んふふ、まぁね。あ、ギョンスは？いないの？そういう人」

どうしてそれを聞いたのか、俺は自分で考えるよりも先に質問していた。