もし君と、違う形で出逢っていたら 3

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「A、行こ！」



あんなことがあったのに優太は普段通りで

帰り支度の遅いわたしを隣の席の机に腰掛けて

暇を持て余しているのか足をブラブラと揺らしながら

待っていてくれている。



「岸、じゃあな」ってクラスの男子達が別れの

挨拶をするとおう！って軽く手を挙げて応えてる

そんな姿を横目に、重たい教科書を鞄に詰め込んだ。



「お待たせ」



そう言って立ち上がったのと同時にバスケ部の子が優太を茶化し始めた。



「あれ岸、彼女と喧嘩でもしたのか？」

「なんだよ急にしてねぇって」

「ならなんで今日は別々なんだよ」

「は？‥‥‥あぁ、俺今Aと‥‥」



今から何を言うのか大体分かるから慌てて片手で優太の口を塞いだ。



「今日はちょっと遊ぶ約束してて、たまたまだから」

「ふーん。仲良いんだな」

「ま、まあ幼馴染みだからね！じゃあまた明日ね！」



手を離せと暴れる優太を引き摺るように廊下へ出たら

優太はバッと勢い良くわたしの手を払って、大きく息を吸った。



「殺す気か！鼻まで塞がってたって！」

「ごめんごめん、大丈夫？」

「もう大丈夫だけどさ‥」

「じゃあ早く行こ！」



この状況からも優太からも逃げるように

その日は足早に体育館へと向かった。

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