もし君と、違う形で出逢っていたら 3

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始業式も終わった帰り。

朝は教室の前で手も離してくれたし特に

茶化されることなく終われたな、なんて安心しながら

友達と話してて全然帰る気のない優太を置いて

ひとりで廊下に出ると、紫耀と出くわした。



「よ、A」

「紫耀‥」



あの日以来、直接話すのは勿論初めてで苦しいくらいに

緊張してるわたしに対して彼はいつも通りだった。



「おい、A置いてくなよ」



こんなタイミングで優太は後を追ってくるし

紫耀を見て苦い顔するし、3人の間に変な緊張感が漂う。


そんな中初めに口を開いたのは優太だった。



「平野、悪いけどAのことは諦めろよ」

「なんで？」

「っ、なんでって見たらわかるだろ！俺の彼女だからだよ」



動揺してるのか荒々しく手を繋いできた優太に対して

顔色一つ変えない紫耀は何も動じてない。



「まあ。Aの幸せは願ってるからふたりのこと、応援はするよ」

「紫耀、ありがとう」

「どういたしまして」



わたしの目を見て優しく笑う紫耀を見て

あ、わたしの好きな笑顔だ。なんて思った事は内緒だ。



「じゃあまたね、A」



わたし達の横を通り過ぎようと歩く紫耀を

目で追っていると、優太の隣で足を止めて

何かふたりが会話しているようにも見えたけど気のせいかな。



「ただ泣かせたりしたらいつでも奪う準備は出来てるんで」

「泣かせるか、ばーか」



こんな会話があったなんて優太の隣にいたのに全く知らずにいた。

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