もし君と、違う形で出逢っていたら 3

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名残惜しそうに離れた唇は

当分、この感覚を残したままでいるだろう。



「Aとこんなこと出来るなんて夢みたいだ」

「うん、わたしもだよ」



甘くて、愛しくて、照れ臭いそんな空気の中

優太は急に大きな溜め息を吐いた。



「どうしたの？」

「俺もファーストキスはAが良かった‥ごめんな、不可抗力とは言え俺だけ初めてじゃなくて‥」



背中を丸めて、

項垂れる優太にわたしは悪気無く言葉を返した。



「ごめん、わたしも初めてじゃない」



漫画やアニメだったらここで「。。。」と

テロップが入りそうなほど静まり返った部屋。


優太の顔が青ざめていくのを見守るしかなかった。



「‥ん？どういうこと？」

「いや だからわたしもファーストキスじゃないよ。あ勿論、不可抗力だったけどね」

「んぇ‥‥まじかあああ‥え！待って相手誰！？うわ、待て！無理！聞きたくない！俺そいつの事一生呪いそうだから」



頭を抱えて崩れ落ちる優太の背中を撫でると

あー！やら、うわー！やらと

嘆いていてなかなか立ち直れない様子だ。

でも、わたしは優太のファーストキスを

目の前で見てるんだけどな。


結局その日はわたしが帰るまで優太はふとした時に

思い出すのか元気になったり落ち込んだりしていた。

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