もし君と、違う形で出逢っていたら 3

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「紫耀、ケーキ出してもいい？」



紫耀の家に着いて、

お皿やフォークを取りに行ってくれる紫耀の背中に

言葉を投げかけるとあっさりいいよ、と返ってきた。

箱を開ける前から甘い砂糖と生クリームの香りがする。

ゆっくり中のケーキが崩れないように箱を開けると

真っ白なクリームの上に赤いいちごの乗ったケーキが

姿を現した。

クリスマスケーキ。

形の整った可愛い顔のサンタクロースが飾られている。

" クリスマス！今年もケーキ作ろうな！ "

優太の言葉と不細工なサンタクロースが頭に浮かぶ。

こんな時に思い出すものじゃない。消えて消えて。



「ちょっと大きかったかな」

「ううん、食べれる食べれる」



戻ってきた紫耀に返事を返したのに、

彼は聞こえなかったのかわたしの顔を見ている。



「紫耀‥？」

「A。」

「なに？」

「どうして、泣いてるの」

「え‥」



そう言われて咄嗟に触れた頬は確かに濡れていた。



「泣くほどケーキ、食べたかったのかな。だって凄い美味しそうだし綺麗だし、知らないうちに感動したんだと思う！さあ、食べよ。紫耀」



涙を誤魔化すために出た言葉なのに、

話せば話すほどとめどなく涙が溢れて苦しかった。

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