もし君と、違う形で出逢っていたら 3

- 123 . ページ23

･


優太の腕を引いて咄嗟に入ったのは

寂れたラブホテルだった。

その事実に気が付いて動揺する優太を半ば無理矢理連れて受付に向かう。

高校生。それなのに案外簡単にチェックイン出来た。



「すげーな！あ、なにか飲む？それとも食べるか？メニューいっぱいあるぞ」



平然を装っているつもりだろうけど優太の声は少し震えていた。



「いいから、隣座って」



腰掛けたベッドの隣をトントンと叩くと

すんなりと優太は従ってくれる。

静寂がそんなふたりを纏ってお互いの心音まて聞こえそうだった。



「雨で濡れたから、シャワー浴びてもいいかな」

「お、おう！行ってこい」



広い浴槽、甘ったるい香りのボディソープ。

それらの意味はまだ分からないけどこの場所はどういう所なのか

それは私も優太も分かっている。


だから私は迷わず、裸にバスローブを巻いた。



「っ、おおおお帰り」

「ただいま」



優太の緊張は目に見えてわかる。

目を伏せて時折泳がせるその視線は私に向けられない。


悔しい。

今一緒に居るのは私なのに。



「優太‥‥」

「ん？」



バスローブは紐を解くとストン、と床に脱げ落ちた。



「１回だけでいいから、お願い」



欲しいんだ。

どんな手を使ってでも。私は貴方が欲しいの。



「優太が好きなの」

- 124 .→←- 122 .

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す