もし君と、違う形で出逢っていたら 3

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なんとなく感じている、キスの雰囲気。

近付いてくる紫耀の顔にぎゅ、っと瞼を閉じた。

ー‥



「ッ‥‥痛ぁ！」



けれど、

わたしに与えられたのは唇への柔らかさではなく

額が指で弾かれたことによる痛みだった。


驚きのあまり瞼を開き両手で額を抑える

そんなわたしを見て紫耀は吹き出した。



「ぷは、ごめんごめん、そんなに痛かった？」

「もう！ばか！紫耀のばかばか！」

「あ、Aもばかって言ってるやんかー」

「これはいいの」



怒り続けるわたしを宥めるどころか

キス待ちをするわたしの顔を真似してみせる紫耀。

恥ずかしくて、恥ずかしくて

何度も軽く叩くけどなんだかそんな顔してた自分が

おかしくて結局紫耀と一緒になって笑った。



「今日もありがとね、紫耀」

「ううん」



その日の帰り。送ってくれた家の前で

なんだか様子のおかしい紫耀は珍しく伏し目だった。



「紫耀？」

「‥‥あのさ、25って空いてる？」

「25日？」



続きを聞かなくても何となく雰囲気で分かる

12月25日のデートの誘い。



「うん、空いてるよ」



今年は優太とケーキ、作れないんだな‥



「なら会って欲しい。それと‥‥出来ればその日に聞かせて。告白の返事。」



ドキンと大きく脈を打つ心臓が熱くて

こんな真冬の寒さに湯気が立ちそうだった。

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