蛇に睨まれた蛙 ページ45
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「大丈夫か？」
眉尻を下げて顔を覗き込んでくる医者らしい彼は、どうやら本気で私を心配してくれているらしかった。
僅かに揺れ続ける部屋にここは海上なのだろうと、無事にあの場所から逃げきれたことに気付く。
背中に添えられた手のひらに感謝を伝えて、包帯の巻かれた右手でそっと涙を拭った。
簡単に揺さぶられてしまう情緒は、きっと命を繋ぎ止めたことに安堵したから。
緩みきった緊張の糸を一度目を閉じることで落ち着かせ、まだぽろぽろと流れ続ける涙を必死に飲み込む。
考えたくもなかった可能性が思いついてしまっては、もうそれをなかったことにはできない。
でも、割り切れはしないけれど、前に進むことはできる。
立ち止まることなんて、一度もあの人の前では許されたことなどなかったのだから。
『あの、エースさんは、どうなりましたか』
どれだけ寝ていたのかは知らないが、ところどころ掠れる声に、一日以上は寝ていたのだろうと察しがつく。
一体ここがどこの船なのかは分からない。
目前の船医であろう彼も戦闘員として十分に機能するほどには体を鍛えていて、しかし怪我ひとつないその姿に白ひげ海賊団の誰かでは無いことはすぐに分かる。
「ホンゴウだ」と名乗った彼は私の寝かせられている寝台に浅く腰掛けると、起き上がろうとした私の肩を柔く押して捲れた布団を掛け直してくれた。
悪意を感じさせないその一連の流れは、見慣れない場所で私の警戒を解くのには十分だった。
「火拳は白ひげの船で寝てる。
目を覚ますには、もう少しかかるだろうって」
一命は取り留めた。
そう言われ、私はゆっくりと息を吐く。
少し硬いベッドのスプリングが軋んで、微かに音を立てた。
ホンゴウさんはそんな私の様子を見て「少し待っててな」と一度微笑むと真っ白な白衣を揺らして部屋を立ち去った。
外から微かに聞こえる話し声に誰かに私が起きたことを報告しに行ったのかと一人納得して、かけられた布団から手を出した。
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なぎしば(プロフ) - 改革さん» ご指摘ありがとうございます。確認したところ訂正すべき箇所が分からなかったのですが、具体的にどのセリフか教えて頂けますでしょうか？ (4月20日 0時) (
レス) id: 520c46c8a4 (このIDを非表示/違反報告)
改革 - 三話の一方通行って話の中のセリフがおかしかったです。 (4月18日 9時) (レス) id: bf669bb16c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 作者さんの素晴らしい語彙力で、戦闘シーンの緊張感などリアリティ満載の作品が楽しめました！とっても面白いです、ありがとうございました。 (2月25日 10時) (レス) @page33 id: 991a92c757 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしば(プロフ) - わたあめさん» 感想を頂けてとても嬉しいです！更新頑張りますので、これからも飽きずにお付き合い頂けたら幸いです！ (5月14日 16時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 凄く面白かったです！テスト前なのに一気見しちゃいました笑更新頑張ってください！！ (2023年5月11日 0時) (レス) id: ddaf0618b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なぎしば | 作成日時：2023年2月7日 17時
