# ページ4
.
『__は』
ほとんど空気に近いその声は全く意味をなさず、風に荒らされた波の音に消された。
じゃあ、ここに今いる自分はなんなのかと問おうとして、悠仁が宿儺に心臓を抜かれても生きていたことを思い出し、口を閉ざした。
欠損した部位の修復__生命維持に関わる部位であればあるほど、高度な反転術式が要求される。
確かに件のレベルなら、一度死んだ人間を甦らせることなど容易なのかもしれない。
「…余の言いたいことが分からぬか?」
『一度死んだってことなら、前例がある』
「一度死んだことは今は重要ではない。
__依り代は、己が死ぬ前に花が見えたか?」
件が放ったその疑念は確信で、事実だった。
私はあの前、自分の周りに咲く彼岸花が見えなかった。
だから、油断して心臓を奪われたのだ。
「あの時、今みたいに術式を閉じておったのか?」
否、使用していた。
街いっぱいに広がる花を見ていた。
「あの時、術式は正常に作用していなかったのか?」
否、作用していた。
七海さんが死ぬ直前、私は確かに彼の周りに花を見ていた。
「では、なぜ依り代はあの時花が見えなかった?」
775人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なぎしば(プロフ) - 改革さん» ご指摘ありがとうございます。確認したところ訂正すべき箇所が分からなかったのですが、具体的にどのセリフか教えて頂けますでしょうか? (4月20日 0時) (レス) id: 520c46c8a4 (このIDを非表示/違反報告)
改革 - 三話の一方通行って話の中のセリフがおかしかったです。 (4月18日 9時) (レス) id: bf669bb16c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 作者さんの素晴らしい語彙力で、戦闘シーンの緊張感などリアリティ満載の作品が楽しめました!とっても面白いです、ありがとうございました。 (2月25日 10時) (レス) @page33 id: 991a92c757 (このIDを非表示/違反報告)
なぎしば(プロフ) - わたあめさん» 感想を頂けてとても嬉しいです!更新頑張りますので、これからも飽きずにお付き合い頂けたら幸いです! (5月14日 16時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 凄く面白かったです!テスト前なのに一気見しちゃいました笑更新頑張ってください!! (2023年5月11日 0時) (レス) id: ddaf0618b1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なぎしば | 作成日時:2023年2月7日 17時