18.ミルクティー。←9.2 ページ18
「管理人の朝霧です。あ、臨時ですけど」
櫻井さんはキャリーを部屋の隅に起きながら「臨時?」と首を傾げた。
「八月だけ管理人さんがお休みをとるって事で私が代わりに」
「なるほど、そうなんですか」
ニッコリ笑った彼はその場に立ったまま自分の腕時計を見る。
「あの、座って下さいね」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「でも潤さん、何時に帰って来るか分からないし...」
使わないから畳んでいた予備のパイプ椅子を広げて「どうぞ!」と勧めると、櫻井さんは申し訳無さそうに微笑んでそこに座った。
「櫻井さん、ミルクティーはお好きですか?」
「え?」
「良かったら飲まれます?」
「そんなそんな!僕になんかお気を使って頂かなくて大丈夫ですよ」
フルフルと小さく首を振ってる。何だか小動物みたい。
「いえいえ、私が飲みたくてちょうど作ってたんです。一杯淹れるも二杯淹れるも一緒ですから」
私がそう言って管理人室にある簡易的なキッチンでミルクティーを淹れてると、背後で櫻井さんがクスクスと笑った。
「えっと...何かおかしかったですか?」
ミルクティーの入ったマグを彼に渡すと、彼は微笑んだまま「ごめんなさい」と謝る。
「松本もよく同じことを言っていたなぁと思って」
「潤さんも?」
「コーヒーなんて一杯淹れるも何杯淹れるも一緒って。それでよく、六杯淹れてくれてたんです」
「六杯?」
何の集まり?サークル?二人は大学時代の同級生とかなのかな。
「あ、僕と潤は東京で一緒に暮らしてたんですけどね」
「一緒に...?」
男同士が一緒に暮らす...?
そう言えば櫻井さん、さり気無く潤さんの呼び方を変えた...まさか、まさかそうなの?
潤さんってば、そっちなの?
私の疑惑の目は櫻井さんに伝わったらしく、彼は「あー!違いますよ!?」と慌てて両手を顔の前で振った。
「同居です!」
「同棲...?」
「同棲じゃなくて同居!シェアハウスです」
ハハ、と力の抜けた笑い方。
眉毛がキュっと下がってる。
「えー!シェアハウス、格好良い!」
「けど全然想像とは違うと思いますよ?オシャレな家じゃなくて、お寺さんの離れにある日本家屋です」
「お寺さんですか?」
「寺の家だから、テラハウスなんて恥ずかしい名前を祖父がつけちゃって」
思わずブフっと吹き出してしまった。櫻井さんもフフっと笑う。
「あ...でも潤さんがシェアハウスってちょっと意外かも...」
一人が好きそうな雰囲気なのに。
7347人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
橘花(プロフ) - みぞれちゃんいいこ。。パラ潤もやっぱり彼らしくて、すごく素敵なお話でした!淡く苦いような甘いような、夏をすごく感じるお話で。随所で彼女のこととみぞれちゃんのことを考える潤くんが見られて切なかったですね。。10年がどんどん短くなりますように! (2018年10月2日 23時) (レス) id: 2798c105f2 (このIDを非表示/違反報告)
Minty(プロフ) - 今頃ごめんだけどやっぱり伝えたくて。私の中のパラ潤はまだまだ彼女を忘れられてなくて、だからみぞれちゃんと話した後は彼女のことを思い出してたんだろうなとか勝手に想像して切なくなってた。そういう裏側の光景まで読めるお話だった。書いてくれてありがとう! (2018年10月1日 23時) (レス) id: 38bee720d5 (このIDを非表示/違反報告)
ま( *^◇^)る(プロフ) - やっと読めた〜!遅くなっちゃった。パラ潤にまた会えて幸せだよーありがと。 (2018年9月25日 19時) (レス) id: 43b5111d45 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - お疲れ様です。っていうの遅い位かな~ 本編ですが、甘さは無いかもしれませんがキュンが、これでもかって位詰め込まれてて凄く良かったです♪みぞれちゃんも未来に期待ができそうだし…reiさんのお話読めて楽しかった♪ (2018年9月25日 19時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - reiさんのお話はみんな好きですが、このシリーズは特にお気に入りです!キャラがみんないい! まるでその世界にまぎれこんだ気持ちになります ありがとうございました! (2018年9月25日 18時) (レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:rei | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時:2018年8月11日 13時