58 〜百side〜 ページ8
千尋は口止めされている事と、Aが悪く言われてる時に傍にいたのは様子を見に来た環と壮五だという事、次の高校での撮影日を教えてくれる。
環と壮五と少しでも時間の合う時を見計らって、話を聞きに行った。
王様プリンに目を輝かせた環と、TRIGGERのライブチケットを拝む壮五。
ブレない。助かる。
「食って良いの！？」
「いただいても良いんですか！？」
こういうとこ、似てるよなあMEZZO"。
「いいよ！たくさん食べて！壮五は楽しんできて！」
「Aの陰口の内容とか理由の情報料なのは忘れないで」
「･･･相変わらずだね2人共･･･」
バンさんが苦笑する。
環と壮五は顔を見合わせた後オレらの方を向いて、AがRe:valeなのが悪いかのように言われてた事を教えてくれた。
気づいた時はユキとバンさんの目が合っていた。
マツリちゃんが主犯格かそうでないかは追々調べていくとして、Aが悪く言われてんのがオレらと一緒にいるのが理由か。
だからAはオレたちには言えなかったんだ。
やっと認められたのに、いつだってAとオレたちが一緒にいることでAが苦い思いをする。
「A、戦ってんだね。オレたちが庇ったらきっと意味ないかもしんない。自分の力で認めさせるって頑張ってんのかもしんない」
認められてRe:valeとして再始動してからのAは強くなってる。
認められないんじゃって情緒不安定になってた頃と違って。
「おかりんの言う通り、見守んのが正解かも」
ユキの車で送ってもらってる中、助手席でそう言って力なく笑う。
ハンドルを握るユキの手に、力がこもった。
「冗談じゃない。見守っていて手遅れになったらどうするんだ。次は内出血だけじゃすまないかもしれない」
語気が荒い。
なんかユキ、怒ってる？
オレは顔に笑顔を張り付けたまま、口を開いた。
「でも監督とか助監とか、味方も大勢いんじゃん？」
「だからってAをずっと見てくれる人がどれだけいる？」
信号で車が止まる。
ユキが傷ついたような顔で、オレの方を向いた。
「何日も目を覚まさない状況になったら？車道に突き飛ばされたら？･･･Aの友達の元彼の問題もあるのに、無事だなんて保証はどこにもない」
後続車のクラクションで、信号が青になったのに気づいたユキがアクセルを踏んだ。
･･･そうか。
ユキは過去を繰り返さないために、今度は守ろうとしてんだ。
Aが昔嫌がらせされた事や、事故にあった事を気にしてんだ。
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作者名：miz | 作成日時：2021年7月3日 9時
