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「大丈夫?」
私についてきた百が背中をさすってくれる。
コクンと頷くと、すぐに嬉しそうな声に変わる。
「天が言ったこと本当?」
『・・・っゴホッゴホッ・・・』
返事の代わりに、軽くジト目を百に向けた。
「照れてる・・・」
百が、目を見開いて嬉しそうな顔をした。
何でそうなるんだ。間違ってないけど。
天もピンポイントで何てこと言うんだ。間違ってないけど。
落ち着いてきて、やっと喉の辺りがマシになる。
ニヤニヤしてる百の脇を小突くと、百は嬉しそうに頬を緩めながら手でガードした。
悔しい。
いつも百には敵わない。
「何ジャレてるの。僕も混ぜて」
「ユキ」
『ジャレてない』
「ん?ユキ羨ましい?」
「羨ましい」
百と千が可愛い感じでジャレてる会話をしり目に、千がさっきまでいた万の所に目線をやると、また万と目が合った。
そういえばさっき何言おうとしたんだろ?
千の横をスルリと抜けて万の所に行く。
「千が座ってた所、座るか?」
『あ、じゃあ飲み物取ってくる』
元の席に戻ってアイスティーを持って先にミナに近寄った。
さっきのジェスチャーで伝わったとは思うけど、ちゃんと言葉でも言いたいし。
『さっきごめんね。折角ハンカチ貸してくれようとしたのに』
「ああ、気になさらないで下さい」
ミナが微笑んで返してくれる。
ホッとした。
「分かってますよ。百さんが妬くと思ったんですよね?」
『あ、いや、まあ・・・・・・うん』
恥ずかしくなって苦笑い。
だって前もミナがどうとか、電話でもミナがいるって事に注目してるようだったし、天も言ってたし。
『百の気にしすぎだとは思うんだけどね、一応ね』
「そうですか?私を恋敵として認定されているので、光栄ですよ」
『光栄・・・?』
訝しげにミナを見ると、ミナは嬉しそうに微笑む。
「それだけ私が、貴方にとって魅力的に映る可能性が高いと言うことですから」
ん?
『魅力的って・・・そりゃミナに限った事じゃないけど・・・?』
眉を寄せる。
私にとっちゃ、ここにいる皆、格好いい人達だと思ってるんだけど。
一緒にいて楽しいし、個性的で面白いし。
時に引く事はあるものの、変わった所があるから良いんだ。
人を思いやれる人たちだから、魅力的に映るんだ。
「・・・ふふ、Aさんには遠まわしな物言いじゃ伝わらないよ」
天が笑みを浮かべながらリンゴジュースを飲む。
「楽や御堂虎於ほど直球なら伝わるだろうけど・・・・・・いや・・・」
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作者名:miz | 作成日時:2021年7月3日 9時