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結局デザートは普通のプリンだけカゴに入れて、お会計は、みっちゃんと私が“自分が出す”と譲らなくて、そうちゃんが折半案を出してくれて従った。
荷物を袋ごとカートに乗せて店を出る。
目に映るのは駐車場の向かいにあるコンビニ。
『王様プリンあるかも。見てくるけどいい?』
「じゃあ僕も行きます」
「おー、じゃあ荷物入れて車ん中で待ってる」
そうちゃんと小走りでコンビニに入った。
店内は空いてる時間らしく店員さん意以外誰もいない。
『あ、あった』
「本当だ。結構ありますね」
『何個いる?全員分ならここにあるの全部でも足りないね』
「そうですね。でもケーキも普通のプリンもありますから良いんじゃないでしょうか」
『ん?ケーキあるの?フルーツと普通のプリンしか買ってないよね?』
「え?・・・・・・あっ」
そうちゃんが、しまったと言いたげに口元に手をやる。
あわあわして目を泳がせている。
『・・・誰の誕生日でもなかったはずだけど』
「えっ、えーと・・・」
すっごい言いにくそう。
何か可哀想だし、まあいっか、とカゴに王様プリンを入れていく。
店員さん、レジにいないな。
ん?レジの奥の部屋っぽい所にいるのって店員さんっぽいんだけど。制服の背中が見えてる。
「すみません。お会計お願いしたいのですが・・・」
そうちゃんが声をかけてくれた。
なのに、こそこそ背中は奥へ行く。
「すみません!お待たせしました!」
バビュン!と音がしそうな程に素早く、店内にいた女の店員さんがレジに立ってくれた。
「多分環くんがほとんど食べると思うので、ここは僕が払います」
そうちゃんの言葉に引き下がるも、奥に逃げた店員さんが気になるなーと目を向けた時、その店員さんがおずおずといった風に振り返る。
『「!!」』
目が合った。
っていうか・・・
『うそ・・・』
「どうかしましたか?」
レジの現金自動精算機で支払っているそうちゃんが私に聞いて来るも、そっちを向かずに、こそこそしてる店員さんを凝視する私。
目が合って更に焦ったように奥に行って見えなくなってしまった店員さん。
「ありがとうございましたー!」
レジをしてくれた女の店員さんの笑顔で、レジから距離を置く。
が早いか、女の店員さんは、奥に逃げた店員を引っ張り出してきた。
「月雲さん、ちゃんとレジして下さい」
月雲了。
ミナやトラから、コンビニで働いてるという事は聞いてたけど。
ここだとは思わなかった。
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作者名:miz | 作成日時:2021年7月3日 9時