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「じゃあAさん、私は今日のことを岡崎さんに報告してきます」
マネージャーが映画の資料を持って私に話しかけてくる。
わかったーお疲れ様〜、と返事をしてからアッと思った。
この前のドラマの一件以来、おかりんが共演者をチェックしてるんだった。
ゲストを教えに来て下さいって言われてた。
・・・4人は仲良いし知ってるしいいよね?
マネージャー帰っちゃったし、ラビチャだけすれば。
「Aー、オレたちの車に一緒に乗るか?」
会議室のドア付近でみっちゃんが私を振り返る。
『うん、お願いしていい?』
車の中でラビチャしようと、荷物を持って会議室を後にした。
おかりんに、マネージャーに聞くと思うけどと前置きして、4人の名前と安心してとラビチャを打って送信。
と同時に百から着信が入った。
『ごめん、電話出ていい?』
「どうぞ」
隣に座ったそうちゃんが笑顔で頷いてくれる。
応答をタップした。
『はい』
・・・「A?今平気?」
『うん』
・・・「どうだった?ゲストの子」
百も心配してくれてるのか。
過保護だなあと笑みがこぼれつつ、4人のゲストとそうちゃんが助手役って事だけ教えると明るい声に変わった。
・・・「マジで!?めっちゃ豪華じゃん!凄くない!?助手増えるってそんな話あったっけ!?」
『ううん。今回はオリジナルなの。映画のための書き下ろし』
・・・「へー!特別感満載!・・・って、もしかして・・・」
『ん?』
百の、うーんと唸りつつ落ち着いた声に耳を澄ます。
・・・「TRIGGERのミュージカル、めっちゃ人気じゃん?」
うん、と相づちを入れるものの、それとこれに何の関係が?とも思ってしまう。
・・・「TRIGGERが伝説級に話題になってきてる今、ミュージカルはTRIGGERのイメージになってるしさ。映画はMissonが一番人気だし」
『うん』
・・・「監督と脚本家からしたら、話題性とか実力とか意外性、ファンをも取り込むって意味でゲストを有名人で増やしたんじゃない?」
おお、ありそう。
ってことは・・・
『完成度高くないと、逆に面白味に欠けて幻滅されるという・・・。ハードルが上がるのね』
観る人がいつもより増えるということは、あまりこの探偵シリーズを観なかったりした人も観るということ。
そこを固定させたい狙いが、監督にはあるのかも。
・・・「まあ大丈夫だって。みんながみんな、良いもの作りたいって思ってんなら」
『うん』
全力でやるだけだ。
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作者名:miz | 作成日時:2021年7月3日 9時