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百に言われたからであることも確かだけど、立場を確立してからの方が、今よりも自信を持って百の隣に立てるだろうと思うのも確かだ。
「・・・落ち着くって、いつ?世評が落ち着くって意味ですか?」
『あ、そうです』
ずっと不思議そうな表情の瑠璃さんに頷くと、瑠璃さんがフォークを置いてグラスのお水を飲む。
頬杖をついて、うーんと唸りだした。
いつ?って聞かれると困るんだけど、私自身が慣れたらって意味じゃない。
私がRe:valeだっていう事実が世間的に馴染んだらって意味だ。
「結構落ち着いてると思うんだけどな〜。どうのこうの言うのは一部だけで。そういうのって売れてれば、あって当たり前って百が言ってるの聞きますよ?」
『それもわかります。その上で賛成が多かったからこそ、今こうしてられるわけですし』
脳裏に過ぎるのは、ドラマ撮影の時の事だ。
ああいうのがしょっちゅうなわけじゃないけど、あると堪える。
1人でこの地位に就いたわけじゃないから余計に。
「うん。だから私としては嬉しい。・・・だってずっとファンだったし、あの時から年始までは、Aさんがエレクトーン弾く姿をまた見れるとは思ってなかったから」
あの時、とは、万と私が怪我をした時だろうな。
万はいなくなったし、私は弾けなくなったから。
穏やかに微笑んで言った瑠璃さんが、ふわっとした笑顔を見せる。
「Aさん自身がRe:valeとして活動するって決まった日なんて、軽くパーティだったんだよ」
『パーティ・・・』
「結婚になったらどうなるか。・・・親戚中でパーティ?」
『それじゃ披露宴で十分そうですね』
お互いにクスクス笑う。
「楽しみ。Aさんが義妹になるの」
『あはは、前も言ってましたね。お義姉さん?』
「ぅわ!すごい心臓悪い!萌える!!」
ぎゅううぅぅーっと自分の胸元の服を掴んで嬉しそうに笑ってくれる瑠璃さん。
相変わらずの反応だけど、やっぱり嬉しくて頬を緩める。
店を出て駅に向かって並んで歩きながら、そういえば、と瑠璃さんが笑顔で口を開いた。
「Aさんのウェディングドレス姿、私が百に送るなら問題ないですよね?」
『・・・へ・・・』
「私のドレス姿にアドバイスもらうために送るついでに、Aさんのも2枚だけ送っておきましたから!」
『ええ!?』
「カラードレスを百に見せるかどうかはAさんに任せますね!」
瑠璃さんがあどけない笑顔で私を向く。
やられた・・・と、呆気にとられてしまった。
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作者名:miz | 作成日時:2021年7月3日 9時