検索窓
今日:38 hit、昨日:3 hit、合計:20,670 hit

62 ページ12

瑠璃さんの初めての訪問。
緊張しないわけない。
百のお姉さんだし。

『瑠璃さん、何か飲みます?コーヒー、紅茶、麦茶、緑茶、炭酸もジュースもありますよ』
「ええ!?Aさんが淹れたのなら何でも喜びますけど!んー・・・じゃあ緑茶で」

2つの湯呑みに緑茶を入れてリビングのローテーブルに置く。
ソファを勧めて座ってもらった。

瑠璃さんが落ち着かなさそうにそわそわしてる。
瑠璃さんの状態も、自分ちっていう事もあってか、落ち着いてきた私。

本題をすぐ聞くのは余計に緊張をあおるかもしれない。
どうしようかなと思ってると、瑠璃さんが両手の平サイズの紙袋を差し出した。

「あ!Aさんにお土産!ビンがかわいくて美味しいからオススメ!」

いい笑顔で言うもんだから、素直に受け取る。
開けると、陶器のような器にソースって印字してある紙のラベルがしてあった。

色んなソース。バーニャカウダとかトマトとか。
好きなやつ。中身見なくても美味しそう。

『かわいい・・・ビンなんですね』
「陶器っぽいよね」

はにかむように笑ってから湯呑みに口付けた瑠璃さんは、やっと体の力が抜けたかのように息を吐く。
温かい飲み物って、体を緩めてくれるよね。

「あの、今日、Aさんってお休みだって百が言ってたんですけど」
『はい』
「今日の予定って、どこに行くとか何するとかありますか!?」

少し前のめってるんですが瑠璃さん。

でもすごく真剣そうな表情で、何か誘いたいと思ってくれてるんだろうなというのは想像がつく。
この勢いのある感じが、百に似てるなあと思って頬が緩んだ。

『ゆっくりしようと思ってた位で。特に予定は何もないです』
「じゃあ、一カ所付き合って欲しい所があるんですけど・・・!」
『いいですよ』
「本当ですか!?」

かわいい。
年上の女の人に、可愛いって失礼かな。
でもかわいい。

部屋の掛け時計を指差して瑠璃さんを見る。

『何時頃出たら良いですか?』
「えーと・・・11時に出れば間に合います!」
『じゃあすぐ出かける準備してきます。そこら辺に雑誌あるので、気になるのがあればどうぞ』

テレビ横のブックスタンドを指して寝室へ入った。

財布とかポーチとか入ってるいつものセットを適当なバッグに入れて、帽子と眼鏡を出してクローゼットを閉める。
寝室を出ると、キラキラした目の瑠璃さんが素早く私に近づいた。

「Aさん、百と結婚するの!?」

『・・・・・・え?』

63→←61 (ブライダル雑誌)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
81人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

この作品にコメントを書くにはログインが必要です   ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:miz | 作成日時:2021年7月3日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。