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瑠璃さんの初めての訪問。
緊張しないわけない。
百のお姉さんだし。
『瑠璃さん、何か飲みます?コーヒー、紅茶、麦茶、緑茶、炭酸もジュースもありますよ』
「ええ!?Aさんが淹れたのなら何でも喜びますけど!んー・・・じゃあ緑茶で」
2つの湯呑みに緑茶を入れてリビングのローテーブルに置く。
ソファを勧めて座ってもらった。
瑠璃さんが落ち着かなさそうにそわそわしてる。
瑠璃さんの状態も、自分ちっていう事もあってか、落ち着いてきた私。
本題をすぐ聞くのは余計に緊張をあおるかもしれない。
どうしようかなと思ってると、瑠璃さんが両手の平サイズの紙袋を差し出した。
「あ!Aさんにお土産!ビンがかわいくて美味しいからオススメ!」
いい笑顔で言うもんだから、素直に受け取る。
開けると、陶器のような器にソースって印字してある紙のラベルがしてあった。
色んなソース。バーニャカウダとかトマトとか。
好きなやつ。中身見なくても美味しそう。
『かわいい・・・ビンなんですね』
「陶器っぽいよね」
はにかむように笑ってから湯呑みに口付けた瑠璃さんは、やっと体の力が抜けたかのように息を吐く。
温かい飲み物って、体を緩めてくれるよね。
「あの、今日、Aさんってお休みだって百が言ってたんですけど」
『はい』
「今日の予定って、どこに行くとか何するとかありますか!?」
少し前のめってるんですが瑠璃さん。
でもすごく真剣そうな表情で、何か誘いたいと思ってくれてるんだろうなというのは想像がつく。
この勢いのある感じが、百に似てるなあと思って頬が緩んだ。
『ゆっくりしようと思ってた位で。特に予定は何もないです』
「じゃあ、一カ所付き合って欲しい所があるんですけど・・・!」
『いいですよ』
「本当ですか!?」
かわいい。
年上の女の人に、可愛いって失礼かな。
でもかわいい。
部屋の掛け時計を指差して瑠璃さんを見る。
『何時頃出たら良いですか?』
「えーと・・・11時に出れば間に合います!」
『じゃあすぐ出かける準備してきます。そこら辺に雑誌あるので、気になるのがあればどうぞ』
テレビ横のブックスタンドを指して寝室へ入った。
財布とかポーチとか入ってるいつものセットを適当なバッグに入れて、帽子と眼鏡を出してクローゼットを閉める。
寝室を出ると、キラキラした目の瑠璃さんが素早く私に近づいた。
「Aさん、百と結婚するの!?」
『・・・・・・え?』
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作者名:miz | 作成日時:2021年7月3日 9時