私が譲れない事 2 ページ38
他のことを忘れる事は今の所ない。
それにTwelve Fantasia Tourは本筋とは別のゲーム機だった。
5周位しかしてないから、本筋に触れてる頻度とは、天と地ほどの差がある。
「ふーん・・・じゃあ、そのうち忘れるかも知れないんだね。・・・その方が良いかも知れないけど。」
『どうだろ?記憶がなかったらって思うこともあるけど、記憶があるから良かったって思うこともあるよ。でもこの事を知った上で、これからの事で、百に聞いてほしいことがある。』
姿勢を正すと、百も姿勢を正してくれた。
ああ、こういう所も好きだな。
でも、私が譲れないこと、受け入れてくれるかな?
『これから色んな事があるのを私は知ってる。でも、それを聞かないで欲しい。私が言ってたら回避できたかも知れないって思ってほしくない。
・・・凄い難しいこと言ってるの、分かってるよ。誰がどんな目にあうのか、どれだけ辛いのか分かってるよ。・・・今まで、それを少しでも気持ちが軽くなればって思いながら人と付き合ってきた。』
それでも出来ないことは、沢山あった。
手が届かない部分。
この記憶を言わないと動かせない部分。
万が言ったように、物事には順序がある。
その時に見合った出来事。
だから、無理に何でも救おうとしないで。
『未来の百が言ったの。・・・“明けない夜はない”。“春が来ない冬はない”。だから、全部試練だと思ってたら、頑張れる気がするから。だから、出来るなら聞かないで欲しい。』
百はジッと私を見て聞いてくれた。
フッと笑ってくれる。
「うん。いいよ。難しいことかも知んないけど、そう出来るようにする。だってバンさんが言うように、Aってイレギュラーなんだし。未来が変わったら、Aにだって分かんないだろ?」
ホッとした。
「じゃあオレからもお願い。バンさんを庇った時みたいに、Aが傷つくのは見たくない。危ないことしないで。」
百はすごく真剣なのに笑ってしまった。
「ちょっと!どこに笑う要素があんの!?めっちゃ真剣なんだけど!」
『あはは。百がそれ言うの?・・・万にも同じ事言われた。』
「ユキを庇ったバンさんが?」
『うん。・・・皆、人のこと言えないね。』
お互いに見合って微笑んだ。
日記帳を片付けようと部屋に行こうとする前に言われた。
「あのさ、この一冊目見せてくれたって事は、これは全部過去の事なの?」
『うん。今回のツアーは二冊目。』
「じゃあ、オレ、読んでもいい?」
吃驚した。
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作者名:miz | 作成日時:2019年4月19日 5時