笑顔のキミが好き【百】 12 (ページ36)

今日:3 hit、昨日:56 hit、合計:128,370 hit

彼女の秘密　3　～百side～ページ36

・

「･･････すごい。」

『･･････え？』

「あっ、いや･･･凄いって言うのも変か。」

なんていうか、未来知ってるって、危ないことを回避する手だてを見つけられるかも知れないって事だし、事前に対策を練ることが出来る。

漫画やドラマの世界じゃ、最強だって事もある。

【あれ？でも、つまんなかったりしない？】

未来って、知らないから楽しい。
色んな可能性があって、自分で考えて行動して。
それがどう結果に繋がるか分からない所がいいと思う。

全力でやろうって気にもなるし、結果を知ってたら手を抜いても大丈夫とか、どうせ失敗するんだからとか、やる気を削がれたりするのは勿体ない。

全力でやってダメでも、全力で悔しがって次に繋げようって思える。

【Aは、つまらないって思ってるようには見えないけど･･････】

むしろ時々楽しんでいるように見える。

一人暮らしを始めたユキの家を見た時の目の輝きようは凄く可愛かった。

「未来知ってるって、つまらないって思わない？」

『え？･･･うーん。自分の未来は分からないから、そこまでではないよ。自分がこうしたらこうなるっていう未来が決定してたら、つまらないというより、変えてやるって思っちゃうかな。』

ああ、なるほど。

「素直じゃない、Aらしい。」

『そこは負けず嫌いって言って。』

思わず笑った。

『でも、誰かが傷つくの分かって黙ってるのは辛い。皆が乗り越えなきゃ成長しないのも知ってるから、それを変えるのも怖い。変えたら、それ以上の最悪のことが起こりそうで怖い。･･･既に私が居るだけで変わってる事もあるし、私がいるからこそ記憶と同じ流れになった事もある。』

「Aがいるだけで･･･？」

聞くと、Aは悲しそうに微笑んだ。

『百は、千の言動と万の出現で歌えるはずだった。歌えないなんて思わなかった。･･････万に言わせると、私がイレギュラーだから、存在するだけで色々変わってるんだって。千が私を好きなのとか、百が私と付き合うのとか。そんな存在いないから。』

「そっか･･･。」

ん？

そっかって言ったけど、今、普通にスルーしそうになったけど･･･

“万に言わせると”･･･？

【バンさんって･･･まさか･･･】

「え？バンさん、まさか知ってんの？Aの記憶の事。」

Aが気まずそうに笑いながら頷く。

【･･････！！】

「･･････っ。」

開いた口が塞がらなかった。