日記ではない日記帳 5 ページ33
A万、夜遅くごめんね。百に日記帳の存在がバレていたんだけど、日記帳がただの日記帳じゃない事に気づかれて説明する事になった。
少しすると電話がかかってきた。
万だ。
寝てる紡を見て、起こしちゃ悪いと思って部屋の外に出た。
どこなら人が来ないだろうと考えたけど、夜中で人は、ほとんどいない。
スマホをスワイプすると、心配そうな声で万が言った。
・・・「A、大丈夫・・・じゃないよな。何でそんな事になったんだ?」
事の成り行きを全て話した。
私の選択は間違っているのか、合っているのか分からない。
百に言う事で、未来が良い方に変わるならいい。
でも百が歌えなくなったのが、千の言動で歌えるようになるはずなのに歌えなかったように、あんな怖い想いはしたくない。
【でも記憶がなければ、そういう事の連続なんだよね・・・・・。】
話を聞き終えた万は優しい声で言ってくれた。
・・・「そうか。・・・・・・百くんなら受け止めてくれるよ。教えただろ?Aにとって譲れない事は何だ?自分の中で整理しろ。・・・・・・俺にしたみたいに。な?きっと間違ってなんかいないよ。大丈夫だよ。」
『万・・・・・・。』
普段は意地悪な事も辛辣な事も言うのに、こういう時は優しい。
・・・・・・こういう所は、ずっと変わってないんだな。
そう思ってると、万が笑いを含めた声で言った。
・・・「もし受け止めて貰えなかったら、俺が貰ってやるよ。」
『・・・ふふ、なにそれ。』
・・・「うん。Aは笑ってる方がいい。」
『・・・・・・ありがと。』
お互いにお休みと言って、電話を切った。
私が譲れないこと。
万に言ったように。
百に言う。
【一冊目なら見せてもいい。】
他に譲れないこと・・・・・・
1晩考えて出した答えに、百が納得するかは分からない。
そもそも、前世の記憶なんて突拍子もないこと、すんなり信じろって方が無理だ。
【宇宙人でも、信じてくれたらいいな。】
“百くんなら受け止めてくれるよ。”
万の言葉を胸に、紡が寝ている部屋に戻った。
次の日のライブも成功に終わった。
次はTRIGGERが関東でライブをやる。
その次が福岡でRe:valeがトリを飾る。
【その前に百と、ちゃんと話しよう。】
決意を胸に、百と一緒に私の家へ行った。
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作者名:miz | 作成日時:2019年4月19日 5時