バーベキューへ ページ23
インターホンを押すと、私もいる事に万のお父さんは驚いていたけど、快く迎えてくれた。
「万の居場所が分かりました。今までたくさんご迷惑をおかけして、すみませんでした。」
頭を下げてキチンと謝った千を見た万のお父さんは、目を丸くして驚いて私を見た。
目が合って微笑む。
「変わったね、千くん。」
その優しげな声に、千が顔をあげた。
「万理が就職したのは聞いたよ。・・・Aちゃんの言った通りになったのには多少驚いたがね。」
「Aが教えたんですか?」
「いや、万理から連絡があった。千くんと会ったと。5年前、Aちゃんの言葉を信じて良かった。ありがとう。」
『いや、私は信じてもらうのに必死だっただけなんで。』
照れ笑いをして言うと、万のお父さんも優しく笑ってくれた。
それから万の仕事ぶりとか昔の話をして万の実家を後にした。
「はー・・・肩の荷がおりた・・・」
疲れた様に車の中で、ぐったりとする千を見て笑う。
『お疲れ様。頑張ったね。』
「うん。・・・・・・バーベキュー、行こうか。モモが待ってる。」
『うん。・・・海鮮買ってく?』
「買っていこう。」
千は今までに見たことがないくらいに嬉しそうで、スッキリした顔をしていた。
だけど高速に乗る頃には、いつも通りに戻っていた。
「もうバーベキューに行くだけだから、ドライブデートと変わらないよね。」
『何度もデートじゃないと言ったはずだけどなぁ。』
「相手がモモなら?」
『ん?そりゃデート。』
「じゃあ万は?」
『万は、そういう事言わないでしょ。』
「・・・・・・随分信用してるよね。万のこと。」
『そりゃあ、頼れるお兄さんだから。』
「思ってないよね。」
『あら、バレた。・・・でも、IDOLiSH7にとって頼れるお兄さんだとは思うよ。私達にはシビアだけどさ。』
言って笑った。
「万、既読スルーするんだ。電話したら設営スタッフとか言うし。」
IDOLiSH7の結成1周年の事だよね・・・
『1日に何回もラビチャするからでしょ。』
「それでも、Aと初めてクリスマスデートした時から数日してたよりは、だいぶ少ないよ。」
『あれは本当に迷惑だった。大人になったね、千。えらいえらい。』
「そうでしょう。」
千は嬉しそうに頷く。
素直に受け取ってるみたいだ。
珍しい。
意外と事が好意的な方向で終わったから浮かれてるのかな?
「夕日が綺麗だね。少し散歩する?」
『ああ、うん。いいよ。久しぶりだし。』
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作者名:miz | 作成日時:2019年4月19日 5時