笑顔のキミが好き 【千】 2

思わせぶりな ページ48

お風呂あがってからリビングに戻ると千はいなくて、スタジオをそっと覗くとギター片手に千がブツブツ言っていた。

声かけない方がよさそう。

まだ徹夜する程、切羽詰まってない時期だと思うけど。
ヤマさんが、ここに泊まってから出来上がるはず。
って事は締め切りから逆算すると、もう少しって事か。

「A、モモから電話。」

スタジオから千が、スマホを持って渡してくる。
受け取って出ると、月雲了の所に行っていた百が、月雲了と今日話したことを言ってくれた。
相槌をうちながら聞く。

･･･「まだユキには言わないで。暴露する人が分かったら言うから。大和との噂は言っちゃっていいよ。」

『分かった。』

本当に私のこと以外は、原作通りだな。

･･･「Aの声聞けて良かった！ユキの声も聞けたし、元気になった！」

『あはは。良かった。』

電話を切ると、千がスマホを受け取りながら、何の話？と聞いてきた。

『ヤマさんと私が付き合ってると思ってるんだって。月雲が。ミナも言ってたな。否定しといたけど。』

「大和くんと棗くんの間に入ったから余計にそう思われたんでしょう。ちょっと言われてて間に入ったって事は、庇った？」

『ああ、うん。黙ってられなくて。』

「Aのそういう所好きだけど、そういう態度取るから大和くんが期待しちゃったりするんじゃないの。思わせぶりな事しないで。」

『じゃあどうすれば良かった？放っておくの？』
「そんな事言ってない。」

千がイライラしてきてる。
確かに放っておいても問題はなかったけど、目の前で長く繰り広げられて黙っていられる程、傍観できない。

傍観する理由が見当たらない。

『これでも気をつけてるよ。自分からヤマさんには触らないし、本だって今は借りてない。２人にはならないようにしてる。それ以上どうしろって言うの？距離を開けすぎると余計に変になって目に付く。』

言うと、千は驚いたように目を見開いた。

気づいてなかったんだ。
それ位、自然に出来てるならいい。

「･･････ごめん。」
『え？』

千が謝った？
結構な確率で謝らないのに。

千は、言うだけ言って、スタジオにまたこもった。

いや、そこは、私が別に良いよとか返事するまで待つところでしょ。
･･･別に良いけど。

結局広ーいベッドで１人で寝た。
夜中に起きてスタジオを見ると、千が壁に寄って寝ていたから、布団をかけてからまたベッドに戻って寝た。

NO DOUBTのベース完成までもう少し･･･

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