モモの声 〜千side〜 ページ3
モモが歌声だけ出なくなった。
病院へは、Aが付き添ったらしいけど、体に異常はないらしいから心の問題だと分かった。
『百。今日夕飯、家に食べに来ない?』
事務所に戻ってきて帰る時、Aがモモに聞いた。
『千は今日は一緒じゃない。』
驚いた。
僕、一緒にいちゃダメなの?
・・・・・・歌が歌えないことに関係するの?
「え・・・と、いいの?」
『うん。』
「じゃあ僕は帰るよ。」
僕はそう言って事務所を後にした。
ちょっとのモヤモヤと、モモの心配。
すぐ歌えると思っていたのに、今日も歌声が聴けなかった。
どうしたらいいんだろう。
本屋でそれっぽい本を見る。
役に立たなかった。
あとは何すればいいだろう。
思い当たることを何とかこなしていく。
大した収穫はなかった。
・
今日はTRIGGERと前半音楽収録の日。
昨晩、Aから電話があった。
“百について話したいことがある。だから早めに楽屋に来てほしい”
じゃあどうせなら迎えに行くと言って当日行くと、車内で話をした。
『百の悩み事、見当はついてる?』
助手席でヤスの姿をしたAが言った。
「ついていたら、解消するために既に動くだろう。」
『“5年だけでいいから”“ただのスペアだと思ってください。”』
とっさにハンドルを握る手に力が入る。
ビクッとした。
モモが僕たちと組む時に言った言葉だ。
『百は、期限を気にしてるよ。』
「その先も続けると、Aには言ったはずだ。」
『でも百は、縛られてるの。私と千が付き合ってるから、余計に自分だけ邪魔だと思ってる。』
思わず路肩に止めた。
「じゃあ、Aは僕と別れるとでも言うの。モモのために。」
怒りが溢れる。
嫌だ。
やっと手に入れたのに。
万だけじゃなくて、Aもモモも、失うなんて嫌だ。
『そんな事言ってないよ。だからどうしたら百が楽になって、歌声が戻るか、一緒に考えようよ。言葉だけじゃダメなんだよ。世間の声を気にしてるレベルとは違う。百が自分の心を、見て見ぬ振りした結果が、体に表れてるの。それを溶かせるのは、私たちしかいないんだよ。』
「どうしたらいいの。」
『それを考えようって言ってるの。1人より2人。2人より3人でしょ?』
「モモとも話をするの?」
『当然でしょ。そのために、千と話したかったんだから。』
でも何をどう話せばいい?
楽屋に行くと、いつもの様にモモはいなかった。
挨拶しながら探した甲斐もなく、ギリギリにやってきた。
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ミズ ミズ(プロフ) - 麗妃さん» いえ!身内からのリクエストで既に万ルート希望の声があったので、構想はあるものの「あ、これ短い」と思ってお蔵入りの可能性はあったので、嬉しいです。ありがとうございます!頑張ります! (2019年4月18日 14時) (レス) id: b42bdaf0d2 (このIDを非表示/違反報告)
麗妃(プロフ) - 誤字ありました!万さんルートです。誤字失礼致しました。 (2019年4月18日 14時) (レス) id: d59234d3e4 (このIDを非表示/違反報告)
麗妃(プロフ) - ミズ ミズさん» ミズ ミズさんのストーリー展開が本当に好きで、万さん不ルートを作ってくださるだけで幸せです!ですから、大丈夫です!これからも応援しつつ、作品を楽しませていただきたいと思っています。これからも頑張って下さい!長文失礼致しました。 (2019年4月18日 14時) (レス) id: d59234d3e4 (このIDを非表示/違反報告)
麗妃(プロフ) - ミズ ミズさん» ええ、え、本当ですか!?正直駄目元だったので、とても嬉しいです!!万さんの立場も分かっているつもりですし、もう色々なルートを書いているミズ ミズさんも大変だとと思います。なので無理しない程度に、ミズ ミズさんの考えているストーリーを恵んで下さい! (2019年4月18日 14時) (レス) id: d59234d3e4 (このIDを非表示/違反報告)
ミズ ミズ(プロフ) - 麗妃さん» いつもありがとうございます!万ルートは、万が主人公の事を一番分かってる位置にいる為、この後のストーリー展開予定での葛藤が消化されやすくて、他ルートのネタバレ的な物になってしまうので、書くなら他が第三部途中位ならと思いますが、いかがですか? (2019年4月18日 14時) (レス) id: b42bdaf0d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:miz | 作成日時:2019年4月9日 10時