みんなの計画 〜千side〜 ページ11
こけら落とし最終日。
モモはまだ歌えていなかった。
「なんかあったら、絶対に守るから。ユキさんや・・・ヤスさんの盾になります。」
「・・・・・・止めてくれ。」
『・・・・・・怒るよ?』
「5年間、ヤスさんの演奏で、ユキさんと一緒に歌えて、しぬほどハッピーでした。」
思わず拳に力が入った。
「止めろ、モモ!」
「百さん!ちょっと来てもらっていいですか?渡したい物があるんです。」
楽くんがモモを呼んだ。
モモが行くのを見送りながら呟く。
「・・・。嫌だ・・・。二度もメンバーを失うのは・・・。ヤス・・・僕がモモを苦しめてるのか・・・」
Aは何も言わずに僕の腕を取って、一緒に楽屋へ引っ張った。
「声が出なくなった原因・・・。・・・毒でもないなら、僕しかいない・・・。ねぇ、ヤス・・・。」
『ん?』
「どうすればモモは、いなくならない?」
Aは微笑んで言った。
『百は、いなくならないよ。さっき、百が言ってたのは本心じゃないと思う。そうするしかないって思ってるだけだよ。』
「でもモモは僕たちを守るって・・・盾になるって言った。・・・・・・こんな事ならスタンガン持ってくれば良かった・・・」
『・・・いや、それは止めようね・・・・・・。』
楽屋前で、Aは微妙そうに笑って僕を見た。
『千。百は、いなくならない。絶対に歌える。百が私たちに大事にされてる自覚を、きちんと持ってもらうために、私たちは気持ちをちゃんと言動で伝えていこう?千は苦手かもしれないけど、不器用でも何でも、一生懸命なら伝わるよ。』
目が合うと微笑んでくれた。
『千が私に本気で好きって、伝えてくれたみたいに。』
目を見開く。
ああ、そうだ。
僕はいつも、Aに付き合ってと言い続けて、ずっと振られてて。
諦めかけて・・・それでも諦められなくて・・・・・・
音楽もそうだ。
君たちが僕を歌わせようとしてくれた。
この場所に連れてきてくれた。
【モモが、Aが、僕に一生懸命を教えてくれた。】
胸が熱くなる。
「ヤス。」
『ん?』
「好きだよ。・・・・・・君が好きだ。」
Aは大きく目を見開いた後、凄く真っ赤になった。
『何で急に・・・っ!わ、私じゃなくて、モモに言ってあげて!』
「モモにも言ってる。でもきっと伝わってないってヤスが言ったんでしょう?」
『そうだけど・・・っもう、化粧室行ってくる!先に入ってて!』
真っ赤なAを見送って、楽屋のドアを開けた。
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ミズ ミズ(プロフ) - 麗妃さん» いえ!身内からのリクエストで既に万ルート希望の声があったので、構想はあるものの「あ、これ短い」と思ってお蔵入りの可能性はあったので、嬉しいです。ありがとうございます!頑張ります! (2019年4月18日 14時) (レス) id: b42bdaf0d2 (このIDを非表示/違反報告)
麗妃(プロフ) - 誤字ありました!万さんルートです。誤字失礼致しました。 (2019年4月18日 14時) (レス) id: d59234d3e4 (このIDを非表示/違反報告)
麗妃(プロフ) - ミズ ミズさん» ミズ ミズさんのストーリー展開が本当に好きで、万さん不ルートを作ってくださるだけで幸せです!ですから、大丈夫です!これからも応援しつつ、作品を楽しませていただきたいと思っています。これからも頑張って下さい!長文失礼致しました。 (2019年4月18日 14時) (レス) id: d59234d3e4 (このIDを非表示/違反報告)
麗妃(プロフ) - ミズ ミズさん» ええ、え、本当ですか!?正直駄目元だったので、とても嬉しいです!!万さんの立場も分かっているつもりですし、もう色々なルートを書いているミズ ミズさんも大変だとと思います。なので無理しない程度に、ミズ ミズさんの考えているストーリーを恵んで下さい! (2019年4月18日 14時) (レス) id: d59234d3e4 (このIDを非表示/違反報告)
ミズ ミズ(プロフ) - 麗妃さん» いつもありがとうございます!万ルートは、万が主人公の事を一番分かってる位置にいる為、この後のストーリー展開予定での葛藤が消化されやすくて、他ルートのネタバレ的な物になってしまうので、書くなら他が第三部途中位ならと思いますが、いかがですか? (2019年4月18日 14時) (レス) id: b42bdaf0d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:miz | 作成日時:2019年4月9日 10時