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『随分と仲がよろしいこと』
「…、」
涼介が他のクラスメイトに呼ばれて去った後。
ギギギ…と横を向けば、にっこりと笑みを浮かべる萩花。
…ほんとにこの人は。
楽しそうな表情しやがって。
絶対にさっきの状況を面白がってたでしょ、確信犯の顔してるもん。…確信犯がどういう顔かは分かんないけど、
『もうわたし、完全に影だったね』
「自分からそうしてんじゃん…!あのさ。前から言ってるけど、別に遠慮せずに入ってきていいから」
『ムリムリ。目の前であんな和やかにお話されてちゃねぇ?』
そう言って、さらに笑みを深めた彼女。
…もう一度言う、確信犯だこの人。
萩花はわたしが涼介に好意を抱いているのを知っている。
言ったわけじゃないのにいつの間にかバレていた。
まるで、どこかの幼馴染みたいだ。
そして毎回のごとく、私が涼介と話していると自然と気配を消してひっそりと見守っているから腹立つ。
多分、遠慮と茶化し、好奇心と面白半分ってところだと思う。
はー…趣味が悪いのなんの。
しかし、当の彼女は気にせず”Aはいっつも否定するけどさあ”と話し続ける。
『山田くんがあんな女子と話すの学校じゃ、あなたしかいないよ?』
「ん〜…、」
『下の名前で呼んでるし、呼ばれてるし。それを許してるんだから』
「……そうなんだけどねえ、」
いつものお言葉。
萩花なりに励ましているんだろうし、それは伝わってくるんだけど。
「わたしは一生、友だち止まりってもう決まってんの」
『はぁ〜…他校の好きな子、だっけ?』
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作者名:やぎ | 作成日時:2024年3月7日 15時