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涼「頼む。中間まじでギリギリだったんです…」
大「山田に免じてお願いします…」
必死に懇願してくる涼介と大貴。
そんな二人の姿を見て、見捨てるという選択肢を選ぶほどわたしも性悪に育てられてない。
もともと、大貴の連絡を受け取って部屋に来た時点で腹は決めていたし。
そこに涼介がいるってなったら余計に断る理由がなくなってしまった。
…しょうがないや。
部屋に置きっぱなしの課題は少しの間、目を瞑っておこう。
「…まずはこの散らかりを綺麗にしてからね」
大「てことは?」
「…いいよって意味です」
大貴の言葉に間を置いて肯定の意を返すと、途端に二人からわっと歓喜の声が上がる。
涼「うわあ、まじでありがとう…!」
大「女神様!」
涼「確かにすごく輝いて見える、」
大「大変お綺麗です…」
「はいはい、どうもありがとうございます」
ほんと息ぴったり。
まるで昔からの友達とか親友とか、なんなら兄弟くらいにも見えてくる。
そんな仲良しコンビからの調子の良いお褒めの言葉をテキトーに受け流しながら。
ひとつ。わたしは幼馴染に交換条件を提示した。
「その代わり。化学、教えてよ」
大貴は中学の頃からもっぱらの理系派。
それはきっと今でも変わってないだろうから。
この際、手こずっていていた科目を教えてもらおうじゃないか。
そんなわたしの言葉に隣に座っていた彼は一瞬顔をキョトンとさせたけど、すぐさま満足そうに笑って。
大「ん。任せなさい」
了承の意でグッと親指を突き立てて、頼りがいのある仕草を見せた。
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作者名:やぎ | 作成日時:2024年3月7日 15時