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「暑ぅー…」
『なんで学校のクーラーってこんな効きが悪いんだか』
「それ」
後ろから降ってくる声に同意しながら、ぺたりと頬を机くっつける。
…あ、ちょっと気持ちいいかも。
気を紛らわすためにやったけど、ヒヤッとした感触が伝わってきて意外といい感じ。
『お昼購買のアイス買う?』
「んー…いいね、そうしよ」
ナイスアイデア。
とでも言うように、体を机から離して後ろを振り返る。
茶髪がかったロングの髪、切れ長でクールな印象を持たせる瞳。初見だと近寄りがたそうな外見の女の子が視界に映る。
「明日身だしなみ検査らしいよ」
『うわ。担当、学年主任だったら最悪』
「口うるさいからねえ…あの人」
嫌そうに口をとがらせたこの子は1年のときから仲の良い友達で。名前は
最初は見た目で気が合わなそうだと思ったけど、話してみたら楽しくて。
今年も奇跡的に同じクラスになれたし、今は席が前後だから学校ではこうしてよく二人で過ごしてる。
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クーラーに、アイス。
周囲には半袖のシャツを着た男子と、控えめにスカートをパタパタと靡かせる女子たち。
もうこれだけで十分に伝わるだろう。
そう。
____7月。
季節はジメジメした梅雨から、いつの間にか完全に夏へと切り替わっていた。
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作者名:やぎ | 作成日時:2024年3月7日 15時