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黒 side


教室について、授業を受けているとふと蘇る今朝の両親との会話。



こうして自分の足で歩いて登校して、授業受けて、購買行ったり放課後ぶらぶらしたり。



そんな日常が、簡単には出来なくなる。



それに、支援級に行くことになったら、樹ともばいばいなんだ。



当の本人は、隣で居眠りかましてんだけどさ。




考えれば考えるほど、自分はこのままで居たいと心が叫ぶ。



共鳴するように心臓がきゅっと縮こまった気がして、呼吸が詰まる。




あんまり考えすぎると、すぐ不調に出るから頭をまっさらにしたいのに。



呼吸はどんどん苦しくなって、俺は机に突っ伏した。



『……ふぅーっ、……ふー、』




深い呼吸は大切だと、看護師さんから教わった。浅くなると、俺はすぐ焦って過呼吸になるから。



今は息をしっかりすることに意識して…、吸って吐いて…。



「…ほくと?」



名前を呼ばれて重たい頭をあげると、さっきまで寝ていたはずの樹が席から身を乗り出して俺の顔を覗き込んでいた。



こういう時ばっかり敏感なんだから。



「平気か?」



『…ん、へぇき、』



「うそつけ、顔色ひでぇぞ。能面だよそれじゃ。」



みんなに聞こえないように小さいボリュームにしながらも、俺の不安を拭うように話しかけてくれる。



『ほけんしつ、いこう…かな。』



普段は特に避ける保健室。でも、今はここに居ても後々迷惑かけちゃうだけだ。



だからまだ動けるうちに潔く休んでこよう。



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作者名:ばにら | 作成日時:2021年10月21日 11時

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