微睡み (ページ11)

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黄 side

慎太郎が塞ぎ込んで1週間が経った。

治療も食事もスムーズには行かなくなり、先生も俺もお手上げ状態だった。

そんな状況を見兼ねた先生が俺を呼び出して提案したもの。

「…セラピードッグですか。」

「はい、慎太郎くんは生き物が好きみたいですし動物と関わることで少しでも病気を忘れる時間を作るのが大切かなと思いまして。いかがでしょうか。」

この病院に週に3回やってくるセラピードッグ。

存在を知ってはいたが、会うには至ったことはなくて。

なんだってよかった。少しでも慎太郎の意識を動かすことができるなら。

きっかけは不明瞭。それでも藁にも縋る思いで、セラピードッグを病室に招くことにした。

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明くる日。

慎太郎は朝から元気がなくて、布団に潜り込んでいる。

やっぱり刺激しすぎない方がいいのかもしれない。本当にセラピードッグを頼んでよかったのだろうか。

すると、病室の入り口からこんこん、と優しいノックが聞こえてきて。

振り返るとそこには、ハンドラーさんと大型犬のセラピードッグが。

「こんにちは、慎太郎くんのお部屋で間違いないですか？」

『はい。……慎太郎。わんちゃん、来てくれたよ。』

ベッドの脇までゆっくりと歩いてきて、おすわりをするとってもいい子なわんちゃん。

ベッドに潜り込む慎太郎を見上げて、くぅんと小さく鳴いた。

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