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『公衆電話から南方向』
「いってらっしゃい」


伊吹さんを公衆電話前で降ろして、私と志摩さんは第二走者の子を探しに、というより先回りに車で向かった。今回は珍しく私の運転で。

伊吹さんは所謂囮りだ。そっちに気を取らせて、走り終えた子達を捕まえていくのが今日の作戦。

私達がちゃんと捕まえて正しい道に戻してあげなければいけない、そう思うだけでいつも以上に気合が入った。

のに…


「Aはここで待ってろ」

私の予想した場所付近で第二走者の子を待ち構えていたら、志摩さんにそんなことを言われる。納得いかない。

「一瞬目を離しただけでフラッといなくなるんだからお前は待機、
 わかったな?ここで“待機”だ」


二度言われずとも言葉の意味は理解している。ステイということだ。
でも、私の本能が疼いている。だから「断る!」と言おうとした。けど志摩さんは聞く耳持たずで、荷台からマウンテンバイクを降ろすと、否応なしに走り去った。なんと勝手な。ひどい、心外。心外だ。

運転席で1人項垂れる。えー、退屈だなー。




『警視庁から各局、西武蔵野署管内西武蔵野工業団地公衆電話より新たな緊急通報入電。』


退屈と思ってる最中、車内の無線機に連絡が来た。
車を引き返し誰よりも早く公衆電話へ向かう。これは笑い事じゃ済まない事だ。


『通報者は先ほどの虚偽通報者と同一人物、真木カホリを名乗る女性。しかしこれまでとは違いスタンガンを所持した男に襲われた可能性あり。通報中に中断。』


公衆電話周辺は閑散としていて人っ子一人いる気配がない。
途中で脱げたのだろう片っぽのローファーだけが無残にあった。
今までのわいせつ犯との共通点はスタンガンを所持しているというところだけ。それ以外はわからない。いや、それだけでも十分だな。
なら犯人はここ近辺で暗くてじっくり体を撫でまわせる場所に連れ込むはず…

どこだよそこ。

暗い場所ならここ一帯がそうだし、隠れられる場所もたくさんあって人通りも少ない。
でも、それを逆手にとれるか。通報からまだ2分。覆面パトカーといえど車に気づいていないか、もしくはいない方向を抜けてきたはず。
だったら国道側より工場側、交番が遠い境南2側…武蔵野交差点の先にある蔵とか、倉庫とか…

大分絞れてたけど探す場所は多い。でもここまで決まれば良いや、最短距離でそこに向かおう。
大丈夫、私のテリトリーだから必ず助ける。
私は強く地面を蹴った。





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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月12日 0時

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