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「俺たちの前から逃げた男と同じ服装の男、それが全部で4人。」
「自販機の前で屯してたので、去った後確認したら…」
「よりによって見守り自販機だった。防犯カメラにバッチリ顔が映ってるはずです」
「でも追尾が途切れた以上、直接証拠にならないんじゃないですか?」
「顔が分かって人定できりゃ任意同行はできる」
「明日毛利さんに伝えます」
すると、伊吹さんは食べる手を止めて何か考え始めた。
「なぁ…オカしくねぇか?」
「あ?」
「何でお前らは公園の裏手にいたんだ?」
「裏に車を回したか「だから何で!?」
「伊吹が……走りで、負けた時の事を考えて…フッ」
志摩さんはあの時の縮こまった伊吹さんを思い出し、堪えきれずに笑い出した。
「信用されてねえ!!うっわ傷ついた…」
「そんなん後にしろ!
早く食え食え!!冷める前に食えもう!!」
伊吹さんが立ち上がり近づこうとするが陣馬さんに止められる。
その光景がまるで家族みたいで、私もついつい笑ってしまった。
前に伊吹さんから、私と志摩さんが似てるって言われたことがあったけど、2人のほうが息ぴったりに感じる。なんだか微笑ましい。
「Aちゃん?」
「…ご馳走様でした」
私は手を合わせると席から立って、途中で放棄してた片づけに手を付けた。
・
ロッカー近くに簡易ベッドを用意して、毛布にくるまり縮こまる。
24時間の当番で、仮眠時間は貴重だ。だからこそ今寝なければ寝る時間なんてないけれど…
眠れない。寝る気は合っても目も頭も冴えて眠りにつけない。
特に今みたいな、緊迫した状況の当番中は寝たくても眠れない。
キッチンから聞こえるお皿の音を聴きながら、とりあえず目だけは閉じた。
「…よくやりますよね、ひたすらカバーして。」
「え?」
「Aさんはまだしも、隊長に進言して人員を入れ替えたらどうですか?
あんな警察官、周りに迷惑ですよ。」
すっごい上から目線。
さすがキャリア君だなと思いながら耳を傾ける。
「九重さんってさぁ、自己評価高いよね。
自分は周りに迷惑掛けてないって思ってる。」
「それは…」
「あぁ、1つ言っておくと、俺はあいつを意外と買ってる。」
「野生の勘と足の速さ?くだらないですね。」
「くっだらないな、そんなのどうだっていいよ。」
「他になにが?」
「俺らにないとこ」
話の内容が気になって、おそるおそる目だけを毛布から出す。
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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月12日 0時