2#10 ページ27
＿
＿＿＿＿
「「「いただきます」」」
身柄引き渡し後、日も沈んでちょうどいい頃合いになり夜ご飯を食べることにした。
「犯人を捕らえに山梨まで来たし、どうせならここでご飯食べようよ！！！」
と、伊吹さんのリクエストで放蕩を食べに。
「うまいな……」
「美味しい…」
「ああ、うまい」
放蕩なんて初めて食べた。なんとも柔らかくてコシがきいてて…とりあえず美味しい。
「乾いたの売ってんのかな？」
「分駐にですか？」
「そうそう。お土産。」
「乾麺か。乾麺のこと言ってんのか」
「だからそうだって言ってんじゃん。」
「1つ言わせてもらう。」
「もー。メシ中くらいいいじゃん！」
「殴って悪かった……ごめん。」
苦そうな顔をしていたのが一瞬で消える。そして伊吹さんは気持ち悪いくらいに頬を緩ませた。
「志摩ちゃん？志摩ちゃん？？よくできましたねー！！」
手を目一杯伸ばして志摩さんの頭を撫でる。当の本人は「触るな」と声は怒っているが、まんざらでもなさそう。その様子がなんだか
「可愛い……あっ、痛い！！！
暴力反対！謝ってください！！！」
気づいた時にはもう遅い、口から出てしまった。何か言い訳を考えている間に鉄拳が私の頭に加えられた。隣を見ると無表情で、目で語られてくる。あ、はい、もう何も言いません。
「なんかAちゃんと志摩って兄妹みたいだね、雰囲気が似てる」
「こんなお兄ちゃん嫌です、怖いから…あ、」
もうだめだ、また出てしまった言葉に後悔する。とりあえず持っていた皿と箸を机に置いて、守備体勢を作る。そんな私の様子を見てか伊吹さんが「でもさでもさ！」と話を変えてくれた。
「俺たちいい相棒になれそうじゃん？」
「結構です。」
「結構するなよ。それ禁止ね。次言ったらメロンパン10個ね」
「あー、さっきの謝罪撤回する」
「もう遅い遅い。時は戻らないよー。」
「そうだな。“時は戻らない”」
「人の命も返らない。どんなに願っても……
お前らは長生きしろよ。」
一瞬だけ重い空気に包まれた気がした。
それに、志摩さんの言った「お前ら」の中には本人が含まれていないような…
「でも3人で相棒っていうのか？」
「え？言わないの？」
「え！？私に聞きます？」
無言で二人に見つめられて私も返答に困る。
3人だと何だろう、トリオ？いや芸人か。
脳内で自問自答を繰り返した結果、何も答えず麺を啜ることに集中した。
〜第2話 切なる願い 完〜
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 247人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：古町小町 | 作成日時：2020年10月12日 0時
