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「機捜404から1機捜本部こちら志摩です。隊長をお願いします、どうぞ」
『こちら1機捜本部桔梗です。どうぞ』
「西森殺害の現場から逃走した容疑者が乗っているかもしれない車両を見つけたかもしれないと言っている奴が隣にいます」
『…ふんわりしてんな』
隊長の呆れたような声が聞こえて来る。
袖だけしかわかっていないから志摩さんの言い方は間違いではない。それを報告して追跡許可を貰うのは、レアケースだろう。
「対象車両は品川2文字、
数字100、平和のへ、2777
確認のため、追尾許可をお願いします」「お願いします。」
「どうぞ。」「どうぞ!!」
鸚鵡返しのように、志摩さんの言葉を繰り返す。
可能性がゼロでない限り追うという精神は同じだからか、隊長から許可を得られた。
そして最後に「くれぐれも!!慎重に。」と言い残して通話を切った。
「"くれぐれも慎重に"だって」
「承知の助ぇ!」
隊長の言葉を繰り返すようにして志摩さんが念を押す。
その後少し離れた距離を保ったまま追尾を始めると、前の様子が見えるようになった。伊吹さんの言ってた通り、3人目の後頭部がちらほら見える。
「服の色までは見えねえな…」
「前出て止める?」
「どうやって」
「ぶつければ止まる」
「次はないって言われただろ」
「私も個人的に嫌です」
「個人的じゃなくてももう禁止だな」
「…だよねぇー」
次は無いと言う以前に私はもう巻き込まれたくない。
あんな無茶は二度とゴメンだ。
自らやるならまだしも、他人の事故に巻き込まれるのは…なんか……
うん、プライドが許さない。
「まだ犯人かも分かんないのに」
「だから犯人だって言ってんじゃん!」
「容疑者加々見というらしいですよ」
「じゃああれが加々見!!」
「…仮に犯人だとしても人一人殺してんだよ。
刺激しない方がいい。車から降りるまで待つ」
「超消極的解決」
「安全な解決」
言い合いを聞き流していると前の方で検問中という簡易看板が見えた。
ああ、安全と言い切れなくなってきたな。
容疑者もそれに気付いたからか、3列目のシートから2列目のシートへ座り直した。この行動で一気に怪しさが増す。
「無線送る?」
「間に合わない、すぐ出られるよう待機…あ、ありがとう」
「いえいえ」
警察手帳が必要になると思い、志摩さんにカバンを渡す。
伊吹さんはずっとソワソワしていて、捕まえたいっていうのが目に見えて分かった。
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作者名:古町小町 | 作成日時:2020年10月12日 0時