dryflower 〜 sho.hirano 〜

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「お待たせしました！」








着替え終わってから
バイトのために取っていたピアスをつけ直す



これももう当たり前の日常になってきた








廉『じゃあ帰ろっか』








私より大きな歩幅で
隣じゃなくて私の一歩前を歩いているのは


きっとそれも廉くんなりの優しさで、


それでも距離が開かないのは
私が歩くスピードに合わせてくれているから。







優しさを分かりにくく隠す癖が紫耀と重なる







「廉くんって、紫耀に似てる気がします」







思わず口に出すと


びっくりしたような顔が振り返る







廉『Aちゃんの彼氏さん？』







私が顔を伏せて笑うと
何故か立ち止まった廉くんは真剣な顔で
真っ直ぐ私を見つめていた







色素の薄い綺麗な瞳に映ると
ドクンと大きく脈立つのを感じる







廉『似てへんよ』







冷たくて、突き刺さるような言葉


でもどこか温かさを含んだ哀しい表情







廉『俺は、』







私が眉を下げて笑うと
廉くんはハッと我に返ったようだった







廉『あ、いや、ごめんなんでもない』






明らかにいつもの様子とは違って
何か隠してるみたいな、



それが何かは私には分からないけど
でもその表情から伝わる何かを見過ごせなくて、
ほっけとけなくて。






「何か相談があったら私でよければ
いつでも乗りますからね」





こんなことを言うだけで精一杯だった







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