dryflower 〜 sho.hirano 〜

39 ページ39

.







廉『はぁ、、まじかぁ、、』





どの角度をとってもかっこよくて

その態度からは余裕すら感じられて

思わず大きな溜め息をつく





『ねぇねぇ、あのかっこいい人知り合いなの？』





横からひょこっと顔を出して
不思議そうな顔をする先輩





廉『あぁ、別に知り合いってわけじゃ、、』





苦笑いを浮かべて、
受けたダメージをなんとか抑えながら受け答えをする





『え、そうなの？
ずいぶん親しそうだったから知り合いかと思っちゃった』





廉『Aちゃんの彼氏らしいっす』





言い切らずにらしいっていうのは
負けた自分を認めたくないからで、

男の俺すら見とれてしまうその姿を
無理矢理頭の中から追い出した





『え、Aちゃんの彼氏！？
あの、いつも外で待ってる人！？』





そんな声を聞き付けて
みんなが一斉に奥の席に座るその姿に視線を向ける





『えーまさかあんなにイケメンだったとは、、』





｢え、なになに、なんでそんなに集まってるんですか？｣





タイミングが良いのか悪いのか
注文を取り終えたAちゃんが
笑顔を振りまきながら小走りでやってくる





『Aちゃんはあんなにかっこいい彼氏がいていいなぁ〜』





｢え、なんですかいきなり (笑)｣





廉『来てるで、彼氏さん』





それと同時に向けられる瞳

瞬きを数回繰り返すと驚きの声を零す





『Aちゃんこれ、サービス』





そう言ってアイスコーヒーを差し出す姿を
うっすらと眺めた





『ふふ、届けてきてあげて』





嬉しそうに目を細めると
何の躊躇いもなく足を進める

見たことのないその表情に柄にもなく胸が苦しい





廉『やっぱほんまにかっこいいっすよね』





弱々しくそんなことを呟く俺に向かって
先輩は力強く背中を叩いた






.

40→←38

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す