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目の前にある階段の上から何か物音がしたのだ。




恐る恐る上を見ると、ヒトツメが廊下を歩いていた。




ひゅっと喉が鳴り、慌てて近くの柱の影に隠れる。




ヒトツメは少年に気づく事無く奥の部屋に入って行った。




(危なかった……)




安堵のため息をつくと、再び前を向いて耳を澄ませた。




風が吹き抜けていく音をよく聞きながら玄関の扉を目指す。




そして、ついに辿り着いた。




(……やっと、弟を探しに行ける……!)




少年は嬉しさのあまり頬が緩むのを感じた。




後はこの扉を開けるだけ。




少年は心の中でヒトツメにごめんなさいと謝り、扉を押し開けた。




瞬間、強い突風に煽られて思わず目を瞑る。




そろりと目を開くと、そこには一面の闇が広がっていた。




ここはどこだろう。




周りを見てみるが、数メートル先が何も見えない。




まるで深い霧の中に迷い込んでしまったようだ。




その時、風が吹き抜け、木々がざわめいた。




「―――ッ!?」




少年が驚いて一歩後ずさった時、




「そこに誰かいるのか?」




と声をかけられた。

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作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年4月9日 22時

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