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「!」
反射的に後ろに下がろうとしたが、机に脚をぶつけてしまった。
よろけた体を支えるためにユウが机に手を突いたとたん、オルゴールが下に落下した。
「危ない!」
ハッとしたユウは地面につく寸前のところでオルゴールを受け止めた。
オルゴールのねじがユウの手に当たった瞬間、さっき鳴りやんだ筈のオルゴールが再び鳴り出した。
少女はユウに襲い掛かることなくただ部屋の前で呆然と立ち尽くしている。
「繧ェ繝ォ繧エ繝シ繝ォ縺ョ縲?浹窶ヲ」
ユウは襲ってこない少女に不信感を抱いていると、日記のページがひとりでに捲れ始めた。
最後のページに差し掛かる。
しわしわになった最後のページには、まだ何か書いてあったようだ。
*
きょう は わたし の たんじょうび
おとうさん が おるごーる を くれた
てんし が ついている おるごーる
ねじ を まわす と やさしいおと が した
この おと を きくと
さびしいきもち が ふきとんじゃうの
わたし の たいせつ な たからもの
ずっと たいせつ に するからね
*
すべての文を読み、顔を上げると目の前にはユウを追いかけた少女のドレスを着た金髪のロングヘアの女の子が立っていた。
突然のことに戸惑ったが、それよりもユウはあることに気が付いた。
少女が泣いている。
声を上げて大泣きしているのではなく、嗚咽しながら涙をひとつ、またひとつと目からこぼれさせている。
そして言葉を絞り出すようにぽつりぽつりと言葉を発する。
「会いたい、よぉ…寂しいよぉ」
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作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年4月9日 22時