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ここに来る前にクラスメイトから「いじめ」を受けてきた僕も、そういえば誰にも言わずに我慢してきていたな。
靴を隠されたり机に落書きされたり陰口を言われたり、陰湿なものが多かったが、確かに僕自身は傷ついていた、と思う。
未だにいじめっ子...Cの顔を思い出す度に吐きそうになる。
いじめのことはイリアにも親にも、誰にも言わなかった。
お父さんは仕事でずっと海外にいるし、
お母さんは朝早くから夜遅くまで働いている。
イリアだって学校から帰ってきて疲れている。
自分のことで余計な心配はさせたくなかった。
Cから僕を守ってくれた飼い犬「カイリ」が、Cにさんざん殴られて蹴られて、しんでしまったとき、
僕はいじめっ子に対する怒りと、飼い主なのにもかかわらず守れなかったことに対しての責任で泣いてしまった。
僕のせいでしんでしまった、なんて、言えなかった。
庭で飼い犬の体を抱えて泣いている僕を見て、お母さんとイリアは何も言わなかった。
その代わりただ僕を抱きしめてくれた。
―――この子も沢山我慢を重ねてきたのかな。
僕はそっと紙をポケットに入れ、再び部屋の扉を開けた。
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作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年4月9日 22時