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突然聞こえてきた無機質な機械音のような声に驚いて振り返る。
そこに立っていたのは球状の頭の中央にはぎょろりとした大きな紫の瞳がひとつ、ドアノブにかけられた手は異様に細長く、指は四本で少し変わったスーツのようなものを身にまとった異形の存在だった。
異形の存在はじっとこちらを見据えている。
「あ……えっと……ごめんなさい!僕何も見てないです!!」
少年は慌てて弁解するも、彼はそれを遮るように喋り始めた。
「…驚カセテシマイマシタカ」
「無理モアリマセン。私ノ姿形ハ貴方ノヨウナ人間トハ違イマスカラ」
ふっと目を伏せる異形の存在。
その様子からは怒りや悲しみといった感情は全く感じられなかった。
その為少年は彼が何を考えているのか分からず戸惑っていた。
「あの……あなたは、誰?」
おそるおそる尋ねる少年。
しかし異形の存在は黙ったまま動こうとはしない。
しばしの間沈黙が続く中、先に口を開いたのは異形の存在の方だった。
「私ノ名前ハ.....、ヒトツメ。コノ屋敷ニ住ンデイル者デス」
そう言うと彼...ヒトツメは深く頭を下げた。
それを見て少年は慌てる。
ヒトツメに対して警戒心を抱いていたものの、そんなことをされると逆に申し訳なくなるものだ。
ひとまず安心した少年だったが、それと同時に幾つもの疑問が浮かび上がる。
「...僕をここに連れて来たのは...君なの?ここはどこ?弟は?それになんで僕怪我しているの?」
少年は矢継ぎ早に質問を投げかけた。
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作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年4月9日 22時