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まだ弟を見つけられていないにも関わらず、自分が死んでしまったのかもしれないという現状にユウはパニックになった。
「落ち着いて、大丈夫だよ。稀に死んで居なくても生者がこっちに来ることがあるんだ。君のようにね」
「...生きてるの...?」
「うん、嘘じゃないよ。でも、生きてるとしても、意識が無いとか死に際とかそんなの」
「...」
自分は生きていたという事実に胸を撫で下ろすも、自分が元の世界で何があったのか、どうしてそのような状況になってしまったのか思い出せなかった。
「でも、なんで君は僕が生きてるって分かるの?」
「...君から心臓の音が聞こえるからだよ」
「心臓の音……」
ユウは自分の心臓がある辺りに手をそっと置いてみる。確かに心臓の鼓動は感じられる。
しかし、今にも止まりそうなほど弱々しい音だ。
ユウは目をぎゅっと瞑る。
「オムライス冷めるよ」
「え?」
目を開けるとローリーの前には空っぽのお皿。そして、ニコニコしながらこちらを見るローリーがいた。
「あー!!ごめんなさい!」
急いで口の中にかき込む。
「ふふっ、ゆっくりでいいのに」
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作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年4月9日 22時