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そこには真っ赤なドレスを着た女の人が歩いていたのだ。




その人は口を大きく開けて笑っているように見えるが、顔が血塗れで表情が全く分からない。




しかも翌々見てみると足が無い。



少年は恐怖からか震えだした。




しかし彼女はこちらに気づいていないようで、暫くすると彼女は見えなくなってしまった。




少年はほっとして息をつくも、すぐにまた考え込んでしまった。




(あれって……人間じゃないよね?)




少年は先程の光景を思い出しながらそう思った。




もし仮に彼女が人間だとしたら、何故こんな時間にあんな所にいたのか不思議だし、何より彼女の着ていた赤いドレスにべっとり付いていた大量の血液の説明がつかないからだ。




少年は考えることをやめようとしたが、恐怖の中でも一度気になってしまったらどうにも止まらないようだ。




今度は部屋を見渡してみる。




この部屋はとても広くて、壁際には本棚が並んでいる。




中にはたくさんの本が置いてあるのだが、どれもこれも古めかしいものばかりだ。




部屋の窓に写った影が視界の隅を横切り、僕は視点の中心をそこに移す。




そこにいたのはお化け…ではなく、自分の姿だった。




黒い髪に黒い瞳、こめかみから生える羊の角。




家の鏡で嫌なくらいに見た自分の姿に僕はうんざりしてしまう。




僕は窓に写る僕を睨みつけると、窓から視線を外した。




そして一番奥の方にある机の上には、これまた古そうなノートが置かれている。




少年は興味深そうに見つめたあと、ゆっくりと近づき手に取ってみた。




表紙には癖のある字で『日記帳』とマジックで書かれている。




「ちょっとだけなら……」




そう呟いてページを開こうとする。




だがそこでふと思い出したように手を止めた。




駄目だ、誰かの日記を勝手に読んだら。




そう自分に言い聞かせると、大きく深呼吸をして手に取った日記帳を机の上に戻した。




「何ヲシテイルノデス?」

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作者名:あまちゃん | 作成日時:2023年4月9日 22時

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