【 東リべ 】オレの馴染みのヤツ

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病院に来る時よりも強く、俺の腰に巻かれたAの腕を確認し、エンジンをかける。

柄でもないが、このコイツの温もりに、ドラケンの生存に安心していた。ひたすらに長かった1日がようやく終わる。





「 ねえタカちゃん寄り道したい 」

「 おーーーー、どこ行きてぇ？」

「 東京タワー！」

「 りょーかい 」





やったやった、と後ろから聞こえ排気音をぶんぶん鳴らしながら夜風を体全体で浴び、ネオンの街並みを走り抜ける。あぁ、生きてるな、とか、感じてみたりもする。






Aは俺の “ 子猫ちゃん ” の排気音が1番好きだと言っていたのを覚えている。


それは、俺がこの愛機に乗り始めてから、よくケツにAを乗せて走り回っていた頃＿＿例えば近くのスーパーだとか、Aの好きな本屋だとか。ある日の集会で他の奴らの排気音を聞いたときに唐突に言われた。


「 アタシ、子猫ちゃんがいちばん好き。響く音、すごい好き。」

なんの前ぶりもない、ストレートで綺麗な言葉だった。




それ以来、コイツを乗せたときに音を鳴らすと純粋に喜び楽しんでくれるのが、俺も楽しかった。




何より、他の誰でもない、俺のインパルスを好きと言ってくれたのが嬉しかった。









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