ミツヒ:過去 ページ3
【過去】ハバモリ郊外の、今は空き地になっている家に生まれた。
幼少期はそれなりに恵まれて育ったが、彼女が8歳になった頃から母親の様子がおかしくなる。
「未来龍の祈り教団」に入信したのだ。
といってもまともに教義を理解してはいない末端の信者だった。ただ、母親は段々とのめりこんでいき、育児放棄気味になっていった。その頃には父親も出ていってしまった。
独り残された彼女が最後に縋る先はセンダの祖父の家だった。
母親の目を盗んで家出し、優しい祖父とそのポケモンのもとでしばらく過ごしていた。
自分によく似たおっとりしたラルトスと、それと対極の荒っぽいラルトスの兄妹とは特に仲が良かった。
だがある日、それまで家出にさえ何もしてこなかった母親が急に連れ戻しに来た。…それも、教団に正式に入るために手土産として、とのことだったが。
彼女は次の儀式まで教団の施設に留め置かれる事になった。何も無い部屋で、「自分は儀式できっと殺される」と漠然と考え続ける孤独に耐えかねた「私」は、祖父の家の兄ラルトスを自分に重ね、妹ラルトスに似た性格のイマジナリーフレンドを生み出した。それがのちに「俺」になる存在だが、この時はまだあくまで話し相手であり自分とは別に考えていた。
そんな折、彼女は儀式に呼ばれた。その時のことを彼女は語りたがらないが、彼女が部屋で漠然と考えていた恐ろしい儀式の妄想とそう解離しないものだったらしい。左腕を焼かれたのもこの時。
そして、とうとう死の直前に至った時─
彼女はセンダの祖父の家の前に立っていた。
初めは走馬灯だと思ったが、すぐにそれが現実だと気づいた。これが彼女が超能力を発現させた瞬間だった。だが、これ以降は1度もこの規模の瞬間移動は行えなかった。
それ以降は祖父の家で暮らし、母親がまた来ることもなかったが、儀式の記憶が精神を蝕み、火を見たりしてフラッシュバックするたびに超能力が暴発して家の食器を割ったりすることが多々あった。
そんな状態を見兼ねた「俺」はフラッシュバックしかけると「私」の代わりに表に出てやるなどの行動をしだし、この辺りから「俺」はイマジナリーフレンドからもう1人の自分になっていった。
その後、祖父からラルトス兄妹を貰い、トレーナーになった。トウエツを巡り、さまざまな出会いや別れを経験してセンダに戻り、そしてジムリーダーに就任した。その途中で友人から譲り受けたフォッコをきっかけに火によるフラッシュバックは落ち着いていった。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:イルル病魔族暖ゴロ | 作成日時:2020年9月23日 3時