９話 ページ10
ー焦凍 Sideー
焦「ん……」
目を開けると、障子に光が当たっているのが見えた。
焦「………朝か」
体を起こすと、隣でAが寝ていた。
なんで、ここに……？
そういや、昨日俺自分で布団敷いたっけ。
あ。そういうことか。
昨日寝ちまった俺をAが運んでくれて、敷いてくれたのか。
それでそのまま一緒に寝たってわけか。
焦「……おい、おきろA。朝だ。」
昨日もAを起こした気がする。
A……。
『……あ。』
お、おきたか。
『あ、焦凍。あ、あ、ごめん…。一緒に寝ちゃってた……』
少し寝癖のついた髪の毛を揺らしながら、俺に頭を下げた。
焦「別に謝ることじゃねえだろ。むしろ俺のほうが謝らせてくれ。」
『？』
昨日のことについて話すと、合っていると言ってくれた。
それからもう一度謝ると、『全然大丈夫だって！』と笑ってくれた。
Aはいい奴だ。
そのあとAは俺の部屋を出て、自分の部屋に戻った。
朝はランニングがあるから、着替えて玄関前集合になっている。
親父は朝早く仕事にいくから、俺たちが行くのと入れ違いに戻ってくる。
Aと合流して、一緒に走った。
Aは走るスピードが速い。
短距離走、とまでは行かないが、なかなかの速さだ。
だから俺は遅れをとるわけにはいかない。Aにあわせて走る。
こいつは限度ってモンがない。それは痛みや温度に限らずだ。
だから体力だって気絶ギリギリまでいつも使う。
だけど汗をかかないから、気付かれないこともある。
本当、危ない奴だ。
道路沿いに走って、海に行って、波打ち際くらいのところも走って。
この少し先に、ゴミがたくさんたまっている海浜公園があるが、そこまでは行かない。
そして家に戻り、制服に着替えて朝飯を食べた。
「『いってきます』」
俺たちは中学へ向かった。
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作者名：派閥弁当 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2018年6月11日 1時
