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「当時いた下級生……一、ニ年生が上級生となった今年の春、再び天女が現れた」
_そこからの話は、耳を塞ぎたくなるような内容だった。
二人目となる"天女"もまた、ある日突然空から落ちてきたという。
一人目の"天女様"の事もあり、学園は警戒しつつも行き場の無い彼女を受け入れた。
常に教師陣も気を配っていたものの、上級生達はやはり彼女に魅了されてしまう。
一度目の時に隔離されていた彼らは、天女のその力……妖術への耐性がなかった。
ただ、一度目と確実に違ったのは天女の性格。
二人目の天女は、聞けばかなりの性悪だったらしい。
自分が妖術を使えると気づいてからは好き放題の我儘を繰り返して、更には自分を巡って戦う男達を見ては喜び
未遂で終わったものの、下級生を毛嫌いして、上級生を操って攻撃しようとさせた事もあった。
結局、止むなく教師の一人が毒を飲ませその天女は天に返されたが_
それ以来天女は疎まれ危険な存在となり、今も生徒達の中では、その天女の影が色濃く残ってしまっている……
「その後もすぐ、また一人天女が来た。しかし、その天女は……」
ここまで話して、学園長先生は言葉を詰まらせた。
その先が何となく予想出来てしまい、私はぎゅっと拳を握りしめる。
『天に、返したと』
……今までの話を聞いて、その言葉の意味は分かっていた。
"天に返した"
これは即ち、殺したという事なのだろう。
学園長先生は、何も答えなかった。
けれど、それはきっと肯定の意を示している。
私は崩れかけていた正座をし直してから、小さく息をついた。
『天女とは……そういう事だったんですね。それは、攻撃したくもなるでしょう』
雑木林で会った人達の表情を思いだす。
特に、私に飛びかかって来た人_
恐らく、上級生だったんだろう。
あの時はなんのことだと頭にきたけれど、この話を聞いてしまえば何も言えなかった。
『では、私のことも殺すのですか?学園長先生のお話でいけば、私は天女なのですから』
……正直納得はいかない。
いや、納得なんてしてやるもんか。
前の天女は天女で、私は私だ。
でも、もし一人目のようになってしまうのなら_
『はっきり、言って下さい』
「……いいや、殺しはせん」
学園長先生は私を見据えて、首を横に振った。
そして、僅かに顔を伏せる。
「これ以上事を大きくしない為にも、何故お主らのような者が落ちてくるのか……調べなければならんからのう」
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海鈴(プロフ) - 麗羅さん» わぁあありがとうございます!性格についてはかなり考えたので、そう言って頂けて嬉しいです。頑張ります! (2022年1月28日 18時) (レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - コメント失礼します!すごく面白いです!夢主ちゃんが剣道が得意で明るい性格っていうのがすごく好きです!更新楽しみにしています! (2022年1月27日 22時) (レス) @page2 id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - みこちさん» ありがとうございます! (2022年1月14日 22時) (レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» もしも、この作品にゲストが出るとしたら、雑渡さんか兵庫水軍の皆さんが現れてくださったら…なんて考えてしまいます。応援します! (2022年1月13日 12時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» 後も一つ、犬夜叉と鬼狩りという奴も在りますよ。出来ますれば、コメントを頂けたら嬉しいです。どんなコメントでも大歓迎です。 (2022年1月11日 21時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海鈴 | 作成日時:2022年1月9日 22時