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Aside



「これであらかた説明したかしら……一応、ここの敷地図を渡しとくわね」

『わ……ありがとうございます』



あくまでも天女とされている私が貰っても大丈夫なのかな、なんて思いつつ渡された敷地図を眺める。



部屋に戻った後、私はまず山本さんから校内やここでの生活の説明を受けた。


井戸の使い方や着物の着方はもちろん、トイレやお風呂も私がいた時代とは違う。



その上、ここは忍者の学校_

敷地はかなり複雑で、トラップやからくりもあちらこちらに仕掛けられているらしい。



『うーん……』


これ、本当に覚えきれるかなあ……


確かめるように墨で模られた線を指先でなぞったその時、山本さんが私の名前を呼んだ。


「……Aちゃん」

『はい?』


振り返ると、真剣な面持ちの山本さんと視線が合う。

私が首を傾げると、山本さんが口を開いた。



「私ね、明日になれば授業に行かないといけないの。だから、明日からは……」


『あ……』


そうだったと、心の中で呟く。


今までずっと付いてくれていたけど、山本さんは、この学園の教師なのだ。

本来なら授業も持っているし、きっと他にも、いろいろ忙しいはず。



「ごめんね、一緒にいてあげたいけど……明日から大丈夫そう?」


不安そうに眉を下げる山本さん。


私は少しだけ考えて、横に置いておいた竹刀に手を伸ばす。

立ち上がって姿勢を整え、構えてみせた。



「まあ……」


『ありがとうございます。私、大丈夫です。山本さんにはとても及びませんが……自分の身は、自分で守ります』



……本当は、少しだけ不安だけど


優しい山本さんに甘えてばかりいたら、この時代ではきっと生きていけない。

天女という存在が忌み嫌われているからこそ、強くあらないといけない。


強くなって、そして、必ず帰る方法を見つけるんだ。




「……やっぱり、あなたなら心配はいらないみたいね」


ややあって、山本さんは大きく頷いた。

そして、私の両手を取って握る。



「でも、ひとつだけいい?Aちゃん」

『はい』


……どうしたんだろう。


私は山本さんを見つめたまま、言葉を待った。




「……天女の伝説ではね、天女は羽衣が無いと天に帰れなかった。だから、Aちゃんも……どんなことがあっても、Aちゃんを無くしちゃダメよ」


『私を……?』



思わず、声が漏れる。


山本さんは何も言わずに、ただ微笑んだ。

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海鈴(プロフ) - 麗羅さん» わぁあありがとうございます!性格についてはかなり考えたので、そう言って頂けて嬉しいです。頑張ります! (2022年1月28日 18時) (レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - コメント失礼します!すごく面白いです!夢主ちゃんが剣道が得意で明るい性格っていうのがすごく好きです!更新楽しみにしています! (2022年1月27日 22時) (レス) @page2 id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - みこちさん» ありがとうございます! (2022年1月14日 22時) (レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» もしも、この作品にゲストが出るとしたら、雑渡さんか兵庫水軍の皆さんが現れてくださったら…なんて考えてしまいます。応援します! (2022年1月13日 12時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» 後も一つ、犬夜叉と鬼狩りという奴も在りますよ。出来ますれば、コメントを頂けたら嬉しいです。どんなコメントでも大歓迎です。 (2022年1月11日 21時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海鈴 | 作成日時:2022年1月9日 22時

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