ポータルの扉を叩けばー交差する時間ー

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北「A…あのさ…、」


北人くんは手を繋いだまま、何かを


言いかけた時、




壱「A。」



久しぶりに私の名前を呼ぶ、好きな人の声が後ろか

ら聞こえて振り返った。




「壱馬くん…！」




壱「北人、悪かったな。気ぃ使わせて。」


北「いや…、別に…。」





壱馬くんはまっすぐこちらを見ているけど、北人く

んは壱馬くんと目を合わせずに私を見て、



北「おやすみ、A。」



「うっうん、おやすみ！」



そして頭をポンッと、触ってその場を去っていった。






私は壱馬くんと向き合う。




「サラさんは？置いてきちゃダメでしょ…。」




私のところに来てくれたことは嬉しいけれど、散々

嫌な思いをしたからか、素直になれない自分がいる。





壱「あぁ…、酔いつぶれてもう寝たから。」






泊まってくんだ…。


サラさんが寝たから、こっちに来たんだ…。




どんどんマイナスな気持ちが、私の中を埋め尽くし

ていく。




「そっそっか…。じゃ私ももう寝るね！」




壱馬くんの横を通り過ぎようとした時、腕を掴まれる。




壱「A。俺…なんかした？」




したよ…なんで気づかないの…？



そう言えばいい？



だけど、その気持ちとは裏腹なことを言ってしまう。






「なにもしてないよ！…じゃぁ、おやすみ。」





私は梯子を降りながら、

これでいいんだ、私が我慢すればいいんだと、心の

中で呟き続けた。




だけど…どこか少し気づいてほしかった、という気

持ちがあるからか、涙で視界がぼやけていく。




「もう…嫌だ…。」






ーーーーーーーーーー




そして次の日、私の中で事件は起こる。






結局あの後、私は気まずいのもあって壱馬くんの部

屋に戻れず、夜更かし好きの翔平くんの部屋でしば

らくトランプやったり、いろんな話しをしてから車

のシートで朝を迎えた。




と言っても、ずっとモヤモヤした気持ちがあり、全

然眠れなかった。




そんな私の気持ちをよそに昼過ぎになっても、まだ

壱馬くんもサラさんも起きてこない。






慎「A、目の下のクマすごいよ。」


北「ほんとだ。」




「昨日、翔平くんと夜更かしした後、あんまり寝れ

なくて…。」



翔平「え、まさかの俺のせい？！」



北「それはどーでもよくて、それよりも翔平の部屋

で夜更かししたことの方が俺的に衝撃だから！」



翔平「Aが勝手に来たんですよ！」

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