ポータルの扉を叩けばー交差する時間ー

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「はぁ…、次から次へと…。」





私は一番奥のガレージに置いてある椅子に腰掛け

て、ドラム缶の中からチラチラ見える火の粉を見つ

める。





自分の中で黒くて、醜い感情が沸々と湧き出てき

て、ため息しかでない。




こんな気持ちのまま、帰れないよ…。








北「大丈夫？」



しばらく火の粉を見ていたら、隣に座ってきた北人

くん。




「北人くん…。大丈夫だよ！ごめんね、せっかくサ

ラさんが来てたのに、席外しちゃって…。」




北「…俺あの人、苦手なんだよね。」





北人くんも火の粉を見ながら、苦笑いで予想外なこ

とを言う。





「えっ…？あんなに綺麗でセクシーで、頭も良さそ

うなのに？！」




北「ふふっ。笑

なにその俺は面食い、みたいな印象。ひどいな

ぁ〜。」



「ごっごめん…。」






北「サラさんは確かに、俺たちの隠れる場所を提供

してくれる恩人の一人だけど、なーんか苦手。何考

えてるかわかんないっていうか…。」




「そうなんだ…。でもほらっ、女の人はミステリア

スな方がモテるって言うじゃん？」




北「Aは単純すぎるけどね。」



と、北人くんはデコピンをしてきた。





「いった〜！どーせ単純ですよーだ。」




北「ま、そういうところが良いんだけどね。」




今度は、北人くんはニッコリと優しい顔で見てくる。





その時、以前慎くんに言われたことを思い出す。




ー北人さんは慰めるやり方が、俺らと違うからー





その言葉を思い出して、私は顔の前で手をクロスさ

せて、



「お生憎様、私はその慰め方には乗らないから

ね？！」




北「わかってるよー。Aに言われて、もうやって

ないし。でも自分のモノにしたらするけどね。」




いたずらに笑う北人くんに、彼女になった人は大変

そー、と言えば、ほんと鈍感娘となぜかデコピンを

またされた。







「二度もするなんてひどいよ、北人くん！」



私はおでこをおさえながら、北人くんの腕を軽く押

す。





北「少しは気分変わった？」



「えっ…、気づいてたの…？」




北「まぁ天才北人くんだからね。笑」




「なにそれ。笑」



私は吹き出す。





北「あんまりこんなこと言いたくないけど…しばら

く嫌な気持ちになることが何回かあると思う。だけ

どその時は、俺がAの目隠しになるから。」






北人くんはそう言って、私の頭を撫でてくれた。

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