ポータルの扉を叩けばー交差する時間ー

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「あ！そうだ、これ聞く？」


この限られた空間で少しでも楽しく

思ってほしくて、私はポケットから携帯を取り出し

子供たちに見せれば、聞きたーい！とテンションが

上がる。




どれ聞きたい？と聞けば、男の子が一番に、これ！

と画面を指差したStarlightを流してあげた。





子供たちは私を挟んで座り、曲に聞き入る。





だめだ…、今の私のメンタルにこの曲は辛すぎる。






男の子「お姉ちゃん、なんで泣いてるの？」


女の子「だいじょーぶ？」




子供たちは心配した顔で、私を覗き込んできて気づ

く、涙がぽろっと膝の上に落ちたことに。






「ごっごめんね！ちょっと喧嘩しちゃった人がい

て…。でも大丈夫！」





壱「全然大丈夫じゃねーじゃん。」



「っ！！」


男の子「LUPUS！」





顔を上げれば、目の前には壱馬くんがポケットに手

を入れて立っていた。





そして男の子は嬉しそうに壱馬くんに抱つき、壱馬

くんも優しい笑みで、男の子の頭を撫でる。





私はちょっと気まずくて、携帯の画面を眺めていたら、


女の子「LUPUS、女の子は泣かせちゃいけないって

LUCASが前に言ってた。」



と、腰に手を当てて私の目の前に立つ女の子。




壱「なっ！おまっ、生意気になったな〜！ほらっ、

向こうで遊んでろ！」





行った行ったと、子供たちの背中を押してその場か

ら移動させる。




でもその際、その女の子は振り返ってウィンクをし

てきたので、私は微笑んで頷いた。





子供たちのキャッキャと走り去る背中を見ながら、


壱「ったく、どんどんませていくな…。」




「壱馬くん、あの…、」


壱「悪かった…、ひどい態度とって…。」





「えっ…、」




片手で首を触りながら、バツが悪そうに謝られる。




壱「久しぶりに会えたのに、知らねぇ男と…しかも

Yukiと一緒にずっといたなんて思ったら…なんか腹

立って…。おまけにアイツをかばったから…。」





「それって…ヤキモチ？」



壱「ばっ！ちげぇーよ！！なんで…あんな奴に嫉妬

なんか…、」




今度は目線をずらして、何やらモゴモゴ言っている

ので、私は座っていたタイヤから立ち上がり、壱馬

くんに近づく。

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